2014 Fiscal Year Annual Research Report
乳児の腸管免疫機能の向上を目的とした乳汁中CCL25の生理学的機能性の解明
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25560048
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
茶山 和敏 静岡大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30260582)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | CCL25 / CCR9 / 母乳 / 成長 / 新生児 / 脾臓 / 胸腺 / 腸管免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
<研究背景> 乳汁中のケモカインCCL25の生理学的役割を解明するために、研究(1)として、マウス新生児の腸管内におけるIgA産生細胞が出現時期とCCL25およびCCR9の発現時期を確認した。そして、研究(2)では、CCL25抗原を添加したマウス用人工乳を用いてマウス新生仔を人工哺育し、マウスの成長、腸管免疫や免疫系器官である脾臓や胸腺などの発達に対する効果を検討した。 <結果および考察> 研究(1)で、大腸と小腸組織中のCCL25及びCCR9 mRNAの発現量を比較した結果、生後10日目の両者は主に小腸で発現し、CCL25 mRNAの発現量は生後2日目から、CCR9は、5日目から経時的に増加していた。また、免疫組織化学的染色の結果、生後10日目及び21日目ではCCL25とIgAの陽性部位が観察された。これらの結果から、母乳哺育された新生仔マウスではCCL25あるいはCCR9は主に小腸で発現し、その発現時期は生後10日目以降であることが示唆された。 研究(2)で、生後10日目までのCCL25含有人工乳の投与実験の結果、CCL25投与群の体重はコントロール群と比較して有意に増加し、その脾臓及び胸腺重量が、体重当たりに換算しても有意に大きく、小腸重量およびパイエル板の数と大きさも増加傾向を示した。さらに、CCL25投与新生仔マウスの小腸におけるCCR9 mRNAの発現量が有意に増加していた。人工保育終了後の新生仔小腸の免疫組織化学的染色の結果、CCL25添加群ではIgA陽性細胞が確認できた。 以上の結果から、マウス新生仔では、乳汁中のCCL25によって、その成長と、免疫器官の発達がが顕著に促進されることが判明した。また、乳汁中のCCL25の直接的作用あるいはリンパ球誘引作用によって、パイエル板の形成やそこへの免疫細胞の集積も含めた腸管免疫の働きが高まることが考えられた。
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Remarks |
本研究では、学会や論文として発表するのに十分の結果が得られているが、その結果に基づいて特許を申請する予定のため、学会および論文としての発表はまだ行っていない。現在、特許申請の準備中で、申請後に学会や論文で発表を行う予定である。
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