2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25560054
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
麻田 恭彦 香川大学, 農学部, 教授 (70151032)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 保健機能食品 / 食用キノコ / 希少糖 |
Research Abstract |
本研究は「希少糖を利用する高保健機能性食用キノコの創成」を主たる目的としており、さらに、それに付随して「希少糖がキノコにおよぼす生理的影響の解析」並びに「キノコによる希少糖転換反応の解析」についても研究対象としている。平成25年度(初年度)では、5種類のキノコ(エノキタケ、ヒラタケ、マイタケ、シイタケ、ウシグソヒトヨタケ)と9種類の希少糖(D-アロース、D-および L-プシコース、D-および L-タガトース、D-ソルボース、L-フルクトース、アリトール、D-タリトール)を対象として、以下の研究成果を得た。 (1)キノコにおける単糖類の資化性の解析:各キノコを液体培地(3%単糖、0.1%酵母エキス)で一定期間培養した後、生育菌糸体の湿重量を測定した結果、キノコの種類により多少の差はあるものの、一般にキノコの希少糖に対する資化性は極めて低いことが明らかとなった。 (2)希少糖がエノキタケとヒラタケの子実体形成におよぼす影響の解析:各種希少糖を含む菌床培地(オガ粉:米糠=1:1w/w)を用いてエノキタケとヒラタケの栽培試験を行ったところ、アリトールあるいはD-タリトール以外の希少糖を添加した培地では、良好な子実体形成が認められた。従って、次年度において、各種希少糖を添加した培地で栽培したエノキタケとヒラタケの保健機能性を解析することが可能となった。アリトールあるいはD-タリトールを添加した培地では、完全に子実体形成が阻害されることが明らかとなった。これら2種類の糖アルコールはキノコの子実体形成機構の解析において、有効な試薬となり得ることが期待される。 (3)キノコによる単糖転換反応の解析:各種キノコの培養菌糸体による各種単糖類の転換反応を解析した結果、キノコ類は一般に、ケトヘキソースのC2位を還元して、糖アルコールを生産する能力を有することが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種希少糖(アリトールあるいはD-タリトール以外)を添加した培地において、エノキタケとヒラタケが良好に子実体を形成することが明らかとなったため、次年度以降に、本研究の主目的につながる「各種希少糖を添加した培地で栽培したエノキタケとヒラタケの子実体における保健機能性の解析」や「希少糖のキノコ子実体への取込みの解析」を実施することが可能となった。さらに、キノコの希少糖に対する資化性は極めて低いことが明らかとなったため、希少糖を添加した培地で栽培したエノキタケとヒラタケの子実体には、希少糖あるいはそれらの誘導体が存在することが考えられる。この結果は「各種希少糖を添加した培地で栽培したエノキタケとヒラタケの子実体における保健機能性の増強」を強く示唆するものである。 また、キノコによる単糖転換反応の解析結果として、キノコ類は一般に、ケトヘキソースのC2位を還元して糖アルコールを生産する能力を有することが明らかとなったため、キノコを用いる新規希少糖生産方法の開発(例えば、L-ソルボースから希少糖であるイディトールの生産)が可能となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度以降においては、当初の研究計画に基づいて、以下の研究を遂行する。 (1)希少糖添加培地で栽培・培養したキノコ子実体、菌糸体、および培養後の培地成分が示す各種保健機能の測定と増強の検証:各種希少糖添加培地、並びにコントロール培地で栽培・培養したキノコ子実体および菌糸体を凍結乾燥した後、粉末化する。得られた粉末および廃菌床を冷水、熱水、85%エタノール、あるいは4%NaOH(抽出後中和)を用いて抽出操作を行う。各抽出液を凍結乾燥して一定量の蒸留水で再溶解した溶液を試料として、各種保健機能(抗酸化活性、免疫賦活化活性、抗腫瘍活性など)の細胞レベルでの測定に供する。培養後の液体培地はそのまま使用する。これらの結果から、各々の保健機能がコントロールよりも増強する食用キノコ(子実体・菌糸体・培養後の培地)-希少糖-抽出操作の組合せを明らかとする。 (2)保健機能をより増強するための栽培・培養条件の最適化:上記の研究から保健機能の増強が認められた食用キノコ(子実体・菌糸体・培養後の培地)-希少糖-抽出操作の組合せに焦点を絞り、保健機能をより増強するための栽培・培養条件(希少糖添加濃度など)を種々検討して、最適条件を明らかとする。 (3)キノコによる希少糖の取込みと糖転換反応の解析:上記の抽出液のHPLC解析により行う。 (4)キノコを用いる新規の希少糖生産方法の開発:上記(3)の結果に基づいて検討を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に、キノコの保健機能性測定キットを当初の予定以上に購入する必要性が生じた。 次年度使用額は、キノコの保健機能性測定キットを購入するための追加予算とする。
|