2013 Fiscal Year Research-status Report
遠隔臓器間代謝機構における血液循環型 microRNA の動作原理の解明
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25560055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森 亮一 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (30509310)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | miRNA / 代謝 / 老化 / 生細胞ライブイメージング |
Research Abstract |
平成25年度は、(1)miRNA 遺伝子改変マウスを用いた肥満モデルマウスの作成、(2)ヒトサンプルを用いた代謝・老化関連 Ago2 結合体内循環型microRNA(circulating miRNA, c-miRNA)の同定、(3)生細胞ライブイメージング解析を中心に行った。 (1)については、炎症関連 miRNA 遺伝子改変マウスを中心にストレプトゾトシン誘導型糖尿病モデルマウスの構築、高脂肪食餌(HFD)による肥満マウスの作製を行った。その結果、miRNA 遺伝子改変マウスは野生型(WT)マウスに比べ、 STZ 感受性の違いが認められた。HFD については、進行中である。(2)については、1000人以上のヒトサンプルデータを基に、様々なカテゴリーへ分類し(例:疾患、年齢等)、実際に Ago2 結合型 c-miRNA の抽出作業、cDNA 合成によるサンプル調製(安定化)を行った。Ago2 結合型 c-miRNA は非常に微量であり、しかも凍結保存からの抽出であるが故、ヒトサンプルからの Ago2 結合型 c-miRNA の抽出については、困難を想定していた。しかし、新鮮血からの抽出と変わらない収量であった。この結果、Ago2 結合型 c-miRNA は、分子的安定性を備えていると推察された。次に、次世代シークエンシングの結果を基に、ヒト由来代謝・老化関連 c-miRNA のスクリーニング・検証を行った。通常の定量 PCR(qPCR)による低リード数の c-miRNA の検出は、非常に困難であった。一方、高リード数の c-miRNA の検出は容易であった。この結果を基に、検出可能なリード数を設定することが出来た。(3)については、共焦点顕微鏡を基本とした生細胞ライブイメージング解析の基盤構築を無事終えることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、種々の機能解析と平行して、新たな解析技術の基盤構築を行うことが出来た。具体的には、イメージング解析のプラットフォーム構築及び生細胞代謝解析である。両者を組み合わせることにより、c-miRNA と細胞内小器官におけるエネルギー代謝機構の分子相関性が明らかになると想定している。ヒトサンプルを用いた解析についても、問題なく進行することが出来た。また、新規実験動物の導入準備も問題なく行えている。 本研究で確立したイメージングシステムを、他のバイオイメージング(例:細胞増殖・活性化可視化測定など)への応用を試みた。その結果、細胞のみならず、厚みの組織に対する深部イメージングも可能であった。今後は、組織透明化等を行い、組織切片を作製せずに組織内の Ago2 分布の検証も行いたいと考えている。以上、これまでの進行度をふまえて「②おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、in vitro ライブイメージング解析のみならず、in vivo イメージング解析を行う。両解析結果を統合することにより、個体レベルから細胞レベルにおける Ago2 結合型 c-miRNA の分子メカニズムを解明する。 ヒトサンプルを用いた解析について良好な結果が得られた場合、速やかに特許取得を想定した作業を行う。そして、新規バイオマーカーの開発に取り組む。
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