2014 Fiscal Year Research-status Report
軟らかい食物が小太り糖尿病をまねく機序とその分子機構の解明
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25560056
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
伊達 紫 宮崎大学, フロンティア実験総合センター, 教授 (70381100)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 軟食 / 糖尿病 / インスリン抵抗性 / 消化管ホルモン / インスリンシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
1日3時間の制限給餌で軟食を与えたラットでは、固形食ラットに比べ、エネルギー摂取、体重、エネルギー消費に明らかな差を認めないものの、耐糖能障害やインスリン抵抗性が認められた。肝臓でのインスリンシグナル伝達分子を検討したところ、軟食ラットは固形食ラットに比べ、同伝達分子の発現が有意に低下していた。一方で、脂質合成に関与する因子は有意に増加しており、高血糖の持続や高インスリン血症がde novo lipogenesisを引き起こしている可能性が示唆された。また、膵ラ氏島の肥大化や細胞増殖マーカーであるKi67の発現亢進を認めた。これらの結果から、消化管からの糖質の吸収と膵臓のインスリン分泌に関連する臓器間クロストーク物質の存在が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットに軟食を短時間与えることにより、耐糖能障害やインスリン抵抗性を引き起こすことを明らかにすることができた。分子レベルでは、肝臓でのIRS2タンパク発現やAktリン酸化の低下が認められ、また、高インスリン血症に伴いde novo lipogenesisに関与する転写因子SREBP1やChREBPのタンパク発現は有意に増加、ACCのリン酸化低下に伴うFasnの増加、肝臓での中性脂肪含量の増加も明らかになった。明らかな過食・肥満を伴わない糖尿病のバイオマーカーに関しては、軟食ラットの肝臓や血中で、SREBPの制御に関連があると言われているmiR-33が上昇しており、候補の一つと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果から、軟食で飼育したラットは、明らかな過食・肥満を伴わない耐糖能障害モデル動物と考えることができ、アジア型の糖尿病患者に類似している。今後、軟食給餌が消化管からの糖の吸収およびラ氏島過形成やインスリン分泌亢進にどのような機序で関与しているかについて検討する。
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Causes of Carryover |
これまでの研究成果を受けて、消化管での糖質吸収に関わるトランスポーター等の発現を検討する必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
定量PCRおよびタンパク定量のための消耗品 462千円
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Research Products
(9 results)