2013 Fiscal Year Research-status Report
米国技術者の創造的活動への予測と意思決定の口述記録と創造教育論の新展開
Project/Area Number |
25560073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松原 幸治 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20283004)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 米国技術者 / 研究開発動向 / 無人航空機 |
Research Abstract |
本研究では、米国の先進的技術開発の動向を調査し、口述調査のための準備を行った。近年、米国では、無人航空機UAV分野の技術開発が活発であり、今後の新産業への応用の期待が高まっていることから、この分野を中心に研究情報を収集した。 それにより次のような状況を確認できた。米国では、国防の要請からUAVの開発が近年急速に進んだが、最近は、その民生応用のための動向が活発化している。2013年12月、アメリカ航空局(FAA)は、産業用UAV開発拠点として、アラスカ大学、ネバダ州、ニューヨークグリフィス国際空港、ノースダコタ商務省、テキサスA&M大学、バージニア工科大学から申請された六つの試験サイトを認定した。アラスカ大学では、UAVを利用した資源管理、氷河観測、海洋生物(サケ等)の調査が行われている。テキサスA&M大学は、農業と機械を重点分野とし、UAVを利用した山火事鎮火、ハリケーン観測、原油調査を実施している。この他にも、カーネギーメロン大学では、UAVを飛行ロボットと位置づけ、ロボティクス研究を活発に行っている。フロリダ大学では、UAVを利用したワニ等の野生動物や沼地生態系の調査を進めている。MITでは、人間とUAVとの相互関係を研究している。UAVに関する企業としては、マイクロドローンズ社(ドイツ)、Aeryon Labs Inc. (カナダ)、AeroVironment, Inc(米国、カリフォルニア州)といった企業が見出された。AeroVironmen社のカーボンファイバー製UAV、Ravenは、アラスカ大学のCathy Cahill教授によって、火山、山火事、大気の観測に利用されている。 このように、米国ではUAVの研究が大変活性化しており、次世代の産業において大変重要な発展を行うことが期待されており、本研究で重点的に扱う分野に値することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、米国調査の基礎となる研究情報の収集を行った。それにより、近年、米国で特に活発な研究開発が模索されている分野として、無人航空機UAVが見出された。この分野の興味深いことは、アメリカ航空局FAAが主導して、研究開発を推進しようとしていることであり、研究開発拠点に深く関わっている六つの機関のうち、三つを大学(アラスカ大学、テキサスA&M大学、バージニア工科大学)が占めることである。すなわち、本研究の最終目標である、高い創造性を身に付けた人材を育成して、新産業を創出することを、米国では、国家事業として展開している。したがって、本研究を最終目標に向かって進展する上で有用な情報を収集できたと言える。このようなUAV研究開発動向をより詳細に把握するための催しとして、国際会議AUVSI'sがフロリダ州オーランドで開催されることを確認できたので、平成26年度には参加予定としている。さらに、米国大学のUAV研究グループとアクセスした結果、新潟大学でのUAV研究プログラムに関して意見を頂くということを主目的として、平成26年度に訪問する方向で調整を進めている。この訪問は、現地大学での研究情報の収集は期待できないものの、日本での創造教育プログラムを進展させる方策について、現地研究者・技術者から直接意見を頂ける可能性があるため有効である。 以上のように、平成25年度は、平成26年度の米国訪問と研究資料収集に向けて現地情報を収集でき、有力機関とのアクセスも進展しており、おおむね順調に進展していると言ってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、前年度の研究情報収集結果を踏まえて、現地調査を実施する予定である。平成26年5月には、フロリダ州オーランドにおいてUAVに関する国際会議AUVSI'sが開催される予定であり、この会議に出席し、研究情報を収集すると共に、会場で人脈を広げ、訪問先のアポイントメントをとることを考えている。また、会場で米国技術者や研究者と広く意見交換し、創造性の湧出に関わる情報を収集する。会議では、米国企業の出展が予定されており、企業や製品の情報も収集する。国際会議は、このように、大学、企業が広く関わっているため、幅広く情報を収集する催しとして活用する。 また米国先進機関を訪問する方向で調整を進めており、新潟大学で実施しているUAV研究や、創造的教育プログラムに関して現地研究者から意見を伺う予定である。 さらに、米国の次世代産業としてUAVが有望であることを踏まえて、新潟大学での教育の取り組みに反映させる検討を進める。日本でも、文部科学省の見解によると、今後は競争が激化する自動車産業から、航空機産業にシフトしようとする産業動向があり、それを反映させて、大学での研究と教育も航空産業の人材を輩出することが求められるようになっている。従って、熱工学では従来から行われていたレシプロ式エンジンの実験に加えて、ガスタービンエンジンないし、ターボチャージャーの実験を導入することで、航空分野の要素技術を含んだ教育の実施が可能と考えられ、そのような実験教材の検討を進めることを考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は、平成26年の3月に米国に出張し、カリフォルニア州の企業を訪問することを考えていたが、平成26年の5月に国際会議AUVSI'sがフロリダ州オーランドで開催されることが分かり、その学会に出席することで効率的に情報収集できると思われたので、出張を平成25年度から平成26年度に延期するものとした。この5月の出張では、同時に、米国の先進機関の訪問も予定しており、有意義な研究情報収集ができると期待している。このため、平成25年度に使用する予定だった研究経費の一部は、平成26年度に使用するものとした。 平成26年度の5月に米国カリフォルニア州オーランドで開催される国際会議AUVSI'sに出席し、米国研究者・技術者と直に接して最新の研究情報を収集し、講演発表を聴講して研究動向を把握し、機器展示の参加を通して企業と製品の動きを把握する。また、この出張では米国機関の訪問も予定しており、新潟大学でのUAV関係の研究および教育での取り組みについて意見を頂くことで、先進機関の技術者と研究者の考えを知ることができる。次年度使用とした予算はこのように使用する。
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