2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25560082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
栗焼 久夫 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (50178109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 祐助 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (80585927)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 工学教育 / 味覚 / 味覚センサ |
Research Abstract |
本研究は,理科教室における使用を想定した教育用味覚センサを開発し,高校生への教育用味覚センサを導入した理科教室の実施により理科教材としての有用性を検証することを目的としている.味覚センサの特徴である生体模倣や測定原理は,高校の履修科目である「生物」「物理」「化学」に通じている.本研究が実現できれば,理科教室を通して生徒が理系科目を学ぶ意義や有用性を実感することで「青少年の理科離れ」の改善に貢献できると考える.教育用味覚センサの開発と理科教室における課題として,以下の3課題についてそれぞれ実施した. 1.塩味と酸味に応答する脂質膜の開発:塩味を呈する食塩および酸味を呈するクエン酸を対象として,教育用味覚センサの作製手法の考案と使用する材料の検討を行った.測定対象が水溶液中でイオン化することに着目し,教育用味覚センサの脂質としてtrioctylmethylammonium chloride,およびphosphoric acid di(2-ethylhexyl) ester,支持材としてテフロン膜を用いることで,塩味と酸味へ応答する脂質膜を開発した. 2.理科教材としての有用性の検証:高校生を対象として,教育用味覚センサを導入した理科教室を実施した.生徒に対して行ったアンケート調査より,理科教材としての教育用味覚センサの有用性が示唆された. 3.教育用味覚センサにおける測定機構の発展:無線通信機能を有する電圧計を実装することで,タブレット端末上で動作するアプリケーションと連携した測定機構の構築を行った.デジタルボルトメータと実装した電圧計のそれぞれを用いた場合の測定値を比較する実験により,教育用味覚センサに無線通信を導入した測定機構が応用可能であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本申請課題は,2年間で①味物質に応答するセンサ受容膜の作製,②短時間で簡便なセンサ電極作製方法の確立,③測定系の確立,④理科教室用テキストの作成および理科教室の実施の4課題を取り組むこととした.平成25年度においては,上記課題①,②,③を実施する予定であった.課題①,②,③において,教育用味覚センサの脂質としてtrioctylmethylammonium chloride,およびphosphoric acid di(2-ethylhexyl) ester,支持材としてテフロン膜を用いることで,塩味と酸味へ応答する脂質膜を開発し,安価なデジタルボルトメータを用いた測定系の確立に成功した.従って,平成25年度の研究実施計画を予定通りに実施できたといえる.さらに,課題①において,難航することが予想されていたが,目標としていた塩味と酸味に応答する脂質膜が予定より早く探索できたため,次年度実施予定であった課題④を前倒しで開始することができた.課題④では,教育用味覚センサを導入した理科教室を実施し,理科教材としての教育用味覚センサの有用性が示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に前倒しをして遂行した課題④について,引き続き測定機構の高機能化を中心に進め,必要に応じて課題①,②,③の見直しを行い,フィードバックさせる.現在のところ教育用味覚センサの塩味と酸味に対する応答が示されたおり,来年度は,その他の味質に対して応答を示す脂質膜の作製に取り組む.また,使用している電圧計は,有するチャネル数と性能面において改善の余地があると考えている.従って,測定する味質を塩味と酸味以外にも拡大し,理科教材としての教育用味覚センサの利便性および教育効果の向上を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本課題では最終年度(平成26年度)に理科教室の実施を行う予定であったが,本年度に実施した①センサの受容膜の作製,②センサ電極作製方法の確立,③測定系の確立が当初の予定より順調に進んだため,予定を繰り上げて理科教室の実施を行った.そのため,受容 膜の材料,電極の選定に必要な物品費が当初の予定より少なくなった. 平成26年度の予定を繰り上げて理科教室を実施した結果,学生(中高生)がセンサの作製を行った際に失敗してしまうケースが見られた.従って,作製方法のさらなる簡便化を目指して,電極材料の検討及び作製手順の見直しを行う.また,現在のところ, 塩味,酸味に応答するセンサ受容膜の開発に成功したが,他の味質,選択性の向上を目指し,センサ受容膜の検討を行う予定である.理科 教室は引き続き実施を行い,得られた問題点をフィードバックして,教育用味覚センサキットの開発を行う.
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