2014 Fiscal Year Research-status Report
「幸せ」を目指す技術者倫理-科学的知見に基づく技術者倫理原則の検討-
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25560088
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
札野 順 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (90229089)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 工学教育 / 技術者倫理 / ポジティブ心理学 / 主観的幸福度 / Good Work |
Outline of Annual Research Achievements |
なぜ、技術者は倫理的であらねばならないのか。なぜ、技術者は特別の責任を負うのか。この問いに対して、伝統的な責任論や義務論を越えて、心理学的根拠に基づいた「新」功利主義的(技術者個人の「幸せ」と公衆の「幸せ」を最大にする)な解を提供することが本研究の目的である。 前年度のネットワーク作りの成果により、平成26年9月には、オーストラリア南オーストラリア州Health & Medical Research Institute,Wellbeing and Resilience Centre所長である、Gabrielle Kelly氏、12月にはメルボン大学院教育研究科ポジティブ心理学上級講師であるMargrlet Kern博士を招へいし、扇が丘キャンパス、虎の門キャンパスで各2回ずつの講演を行っていただくとともに、本研究についての情報交換を行うことができた。Gabrielle Kelly氏は、ポジティブ心理学を導入してウェルビーイングの州づくりを行っている南オーストラリア州の政策担当者であり、同氏の許可を得て、南オーストラリア州の取り組みをまとめた広報誌の日本語訳を行った。Margaret Kern氏は、ペンシルバニア大学M.Seligman教授の下で研究を進め、主観的幸福度調査ツールPERMA Profilerを開発した人物で、同氏の許可を得て、金沢工大心理科学研究所(所長:塩谷亨)と共同でPERMA Profilerの日本語化を行った。 本研究の成果の一部を基にして、放送大学新規テレビ科目「新しい時代の技術者倫理」を制作し、教科書を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で述べたように、平成26年度は海外より2名のポジティブ心理学関係者の招へいを行い、本研究推進の上で大きな進展があった。また、成果の一部を基にした放送大学テレビ科目の制作もできた。しかし、これらの活動に注力したため、当初の予定の国内技術者インタビューの時間がとれなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)PERMA Profiler、2)ペンシルバニア大学が開発した他のツール、及び3)Good Work Projectのツールを活用して技術者に対するインタビューの質問項目を立案し、実施する。同時に、Good Workなどを強調する技術者倫理科目を受講することで、受講者の主観的well-beingがいかに変化するかを、日本語版PERMA Profilerなどを用いて測定する。
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Causes of Carryover |
Gabrielle Kelly氏、Margaret Kern博士に来日いただいたため、本研究に関して、研究代表者の海外旅費が発生しなかった。また、当初予定していた国内技術者インタビューを実施できなかったため、国内旅費、テープ起こしの費用が発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内の技術者を対象としてアンケート調査及びインタビューを実施する。
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