2013 Fiscal Year Research-status Report
分子軌道法と分子動力学法を活用した新たな教材と教育法の開発
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25560092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
松橋 信明 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (40199831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 一雅 函館工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40270178)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分子軌道法 / 分子動力学法 / 新教材開発 / 新教育法開発 |
Research Abstract |
これまで申請者が使用・改善してきた計算化学ソフトをベースにし、新規に購入した計算化学ソフトSCIGRESSを用いて従来実施してきた分子軌道法による液晶分子の作成や分子動力学法による液晶自己保持膜の構築を行い、最新の汎用ソフトによる高機能な電子教材開発を推進している。 また、高専電子系専門教育における活用を念頭に、複数の高専学生を対象としてフリーの体験版ソフトを用いた教材開発を検討した。分子軌道計算体験版ソフトを用いて4価元素のダイヤモンド構造に着目し、Si、Ge、C分子を作成して構造の最適化を行い、グラフィカルでわかりやすい表示を実現でき、双極子モーメントや電子密度などの物性を比較することができた。また、分子動力学計算体験版ソフトを用いてSiのアモルファス構造を再現してグラフィカルでわかりやすい表示を実現でき、動径分布関数における通常のSi結晶との違いをグラフィック表示することができた。カラフルで美しく視覚に訴え、直感的な理解を実現でき、学生の興味を誘発する電子材料教材として有効である。 そして、多くの学生が授業で利用できる教材の開発を目指して、JAVA言語を用いて分子動力学シミュレーションシステムを構築し、Cu-Fe合金の多重層について時間経過に伴う構造変化や熱的安定性を計算し、フリーソフトを用いてカラフルで美しい3次元表示を実現した。さらに時間変化に対する3次元描画や視点の移動、動画再生も可能であり、材料物性の視覚的理解を可能にした。本システムはすべてフリーソフトウェアで構築されているので、専用ソフトの購入が不要で、汎用性が高く、多人数授業においても利用可能な電子教材として非常に有効である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、学齢的に理論的な理解が難しい高専電子系専門教育において、分子軌道計算法と分子動力学法を活用して、学生の興味を誘発しながら視覚的に電子材料の構造や物性を理解し、創造性を育む新たな教材と教育法の開発を目的とする。その具体的な研究目的は、1.市販のソフトを用いた高専電子系専門教育への適用の検討と新教材の開発、2.新電子材料開発を目指した創造性を育む新教育法の開発、3.高専電子系専門教育に最適なオリジナルソフトの開発、の3つである。 現段階において、市販の計算化学ソフトSCIGRESSを新規購入して高機能な電子教材開発を推進しており、また並行して分子軌道計算や分子動力学計算の体験版ソフトを利用して、高専電子系専門教育を対象とした電子材料教材を開発できた。そして多くの学生が授業で利用できるようにすべてフリーソフトウェアを用いてオリジナルの分子動力学シミュレーションシステムを構築した。 以上の研究実績から、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究成果をベースに、分子軌道法と分子動力学法を活用した新教材や新教育法の開発を行う。また、開発した教材を電子系授業において有効活用するための新たな教育法を開発する。将来、材料開発や分子設計の現場において物性予測や物質のスクリーニングなどにシミュレーションソフトを活用することを念頭に、パソコンを利用したわかりやすく効果的で学生の興味を誘発する新教育法を開発する。さらに、創造性を育成できる新たな教材と教育法の開発を行う。シミュレーションなので実在しない分子やその集合体の安定性や性質を予測することが可能であり、自由な発想で様々な電子材料を設計でき、新機能性電子材料の開発を目指した、創造性を育成できる新たな教材と教育法を開発する。 また、分子が特異的に他の分子を認識する分子認識など生命現象に関する分野にも有効で、バイオエレクトロニクスに関する新たな教材と教育法を開発する。さらに、高専電子系専門教育に最適なオリジナルソフトの開発を行う。開発した新たな教材と教育法を多人数の教育の場で展開するべく、安価で効果的な、そして高専電子系専門教育に最適なオリジナルソフトを開発する。また、フリーソフトや他大学のスーパーコンピュータを活用して、一層の高度化を図る。
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Research Products
(3 results)