2014 Fiscal Year Research-status Report
多様な双方向性及びPBL観点を主眼にした実験ノートを核とする実験指導に関する研究
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25560096
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
越地 尚宏 久留米工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (90234749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬越 幹男 久留米工業高等専門学校, 材料工学科, 教授 (10091357)
森 保仁 佐世保工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (80243898)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 実験ノート / PBL / 双方向性 / リテラシー / IT化 |
Outline of Annual Research Achievements |
多様な双方向性およびPBL観点を主眼にした実験ノートを核とする実験指導に関して、実際の実験科目(本校電気電子工学科4年 機器実験を主として)における実験ノートの運用を中心に学生の協力の下、問題点や課題を抽出し、それをまたノート指導に反映させるという実践的手法を取り入れながら研究を行った。 従来の実験・実習科目の目的や主眼は、(特に工業高等専門学校での実験・実習では)その実験科目が対象とする領域の内容について、実験・実習という体験を通しての具体的な技術及び内容理解が主眼であり、それらの基盤になるノートテイキングを含む理系としての基礎的能力(技術立国である我が国の学生にとっての、広義の「科学技術リテラシー」と言うことができよう)の育成・養成の観点はなかった。今回の研究は今まで見過ごされていたこの観点を主眼として取り組みを行った。 まず学生全員にノートを配布し、実験ノート記入をどのように行うか、そのフォーマットの実践練習として、実験記録に必修の事項を記入できる表のテンプレートシートをノート貼り付け用にシール上に印刷しこれをノートに貼り付け事項を記入させた。また実験を通しての気づきやアイデアを記入する欄を同様にシールとして作り、どんな些細なことでも記入するよう指示をした。これにより学生は受動的ではなく能動的な態度で実験に取り組むことができた。 実験ノートは本来個人的なものであるが、クラス全体で各実験チームが得たノウハウや安全上の留意事項を共有する「実験ノートの(情報共有という視点での)のクラウド化」を目指した「実験引き継ぎシート」を発案し、これを試験運用した。これは大変好評で、ただ与えられたテーマを「こなしていく」という受け身の実験から、得られたノウハウを他者に引き継いでいくという「能動的アクション」が付加されることにより、実験に対する学生の能動的姿勢を引き出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回の研究の目的は実際の紙のノートを用いた実験ノートを核とする実験指導の方法論の確率と、それをサポートあるいは牽引するツールとしての、近年爆発的に発達したIT機器/ITシステムを利用しての実験ノート指導の効率化/高度化であった。 実際の紙のノートを用いたノート指導は「実験で得られたノウハウや留意事項(特に安全に関わることについて)をクラス全体で共有する「クラウド化」を目指した実験引き継ぎシート」を新規発案することにより大きな進展が得られたが、IT関係分野は、まだシステムの構築および運用には至っておらず、このシステム構築と運用が急務である。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように今後はITシステムの構築と運用、そして得られたノウハウのフィードバックを行う。また全国の高専にアンケートを送付し、各校の取り組みの実態を調査する。また今夏長岡高専で開催の第9回国際工学教育研究集会(ISATE2015:The 9th International Symposium on Advances in Technology Education)に現在登壇申請しており、その場で本テーマ及び関連事項について参加各国の技術教育者と意見や情報の交換を行いたい。そして可能ならば国際協力も視野に入れた活動を計画している。
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Causes of Carryover |
実験ノートによる実験指導研究を多様な切り口から遂行した。学会発表の予定であったが、1)研究が学生の協力で大きく進捗し、得られた知見からの改訂を次年度の実験科目で実施することで新たな知見の獲得が見込まれる。2)当研究に関心がある他機関がありより広い調査対象が期待可能。3)全国で基礎実験が推定以上に未実施であり、現状を詳しく調査し本研究に繰り入れ、その成果から他機関への指針/提言を目指したい。 4)本年夏に長岡高専で技術教育の国際会議である第9回国際工学教育研究集会(ISATE2015:The 9th International Symposium on Advances in Technology Education)が開催予定であり、その場で、世界の教育者向けの発信や意見交換、可能ならば同研究プロジェクトの海外展開を目指したい。 以上が次年度使用額の生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の計画を遂行するため、(1)ITシステムの構築と運用を経ての改良 (2)より広範囲の学生を対象とした調査研究の実施 (3)全国高専へのアンケートとその分析 (4)第9回国際工学教育研究集会(ISATE2015:The 9th International Symposium on Advances in Technology Education)での発表を行う。 これらにかかる物品費、旅費、その他の費用(通信費や学会参加費を含む)に次年度経費を使用する計画である。
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Research Products
(1 results)