2013 Fiscal Year Research-status Report
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25560101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
巽 久行 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (30188271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 正弘 筑波技術大学, 名誉教授 (70248748)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 視覚障害補償 / 触地図 / オンライン地図 / 情報共有化 / 移動支援 |
Research Abstract |
近年,地理情報システムの発達により,誰もがパソコンや携帯端末などでオンライン地図(例えば,グーグルマップやヤフーマップなど)を利用している。最近,タブレット型パソコンに,画面の拡大操作や読み上げ操作などのアクセシビリティ機能が充実された結果,弱視者はオンライン地図を使えるようになったが,全盲者は未だ,旧来からの触地図に頼るのみである。本研究は,触地図とオンライン地図との情報共有化を図り,全盲者でもオンライン地図の便利な機能や情報支援を受けられることを目標としている。 初年度である平成25年度は,オンライン地図から道路情報を抽出し,ベクトルデータ型の簡易触地図を作成することを試みた。その手順は,オンライン地図画像から,文字領域と地図記号,アイコン記号の抽出を行い,道路領域を判定して道路情報をベクター画像(例えば,SVGファイルなど)に変換する。また,文字認識された文字列と地図記号,アイコン記号などは説明をテキスト化し,音声化用のファイルとして蓄える。この際,文字領域の抽出や文字認識は既存の手法を利用している。作成したベクター画像,すなわち,ベクトルデータ型簡易触地図は,編集作業が可能な自己メンテナンス型で,様々な用途への触地図作成が可能となる。この簡易触地図と元のオンライン地図との間で情報の共有化を図るには,簡易触地図上の触指位置の検出が必要になるが,これは平成26年度の課題である。最近,パソコンに手書き文字を入力する電子ペンが流行っているが,その手法を用いた指サック型の触指位置検出機器があれば,簡易触地図とオンライン地図の位置同期がとれて,全盲者でもオンライン地図の機能や情報を受け取ることが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した平成25年度の計画項目は「1.オンライン地図から道路情報のみを抽出してベクトルデータ型簡易触地図を作成すること,2.その触地図を自己メンテナンス型にすること」であり,これらは概ね達成できた。項目1に関して,オンライン地図から道路情報を抽出する際,グーグルマップを例にとると,そのAPIを使えば簡単に記述できる。また,我々は過去に地図画像に音声テキストを埋め込んだベクトルデータ型ファイルの作成経験があるので,簡易触地図の作成も順調に遂行できた。項目2に関して,抽出データを自己メンテナンス型にする理由は,オンライン地図には載っていない点字ブロックや音声付きの交差点信号などの情報を書き加えるためである。視覚障害者に必要と思われる情報編集の自由さは確保したつもりであるが,もう少し工夫する必要がある。これらのことから上記のとおり達成度を評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した平成26年度の計画項目は「3.簡易触地図上の触指位置の検出,4.ベクトルデータ型簡易触地図とオンライン地図の位置同期を図ること」である。これらはハードウェアを伴う研究であるので困難さが予想される。項目3に関して,現状では触指位置の検出を,赤外線・超音波法による電子ペンの原理で検討している。その基本技術はイスラエルの会社が所有しており,ソフトウェア開発ツールも公開されている。しかし我々は,視覚障害者向きの指サック型触指位置検出機器を開発するつもりであり,これに電子ペンの基本技術が使えるか否かは研究計画に影響を及ぼすので慎重に対処したい。項目4に関して,両地図の位置同期は触地図の指定した位置を触指することで行う。そのため,項目3が達成されれば簡単である。共有化インタフェースプログラムを開発して,触指位置をマウス位置として機能させることを考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額の61円が生じた理由は,交付申請段階で予定していた測定機器が使用できずに,新たな測定機器部品を購入したことによる物品費の見込み違いであった。このため,当初予定していた旅費の半額(30万円ほど)と人件費・謝金(5万円)を物品費(当初の予定は75万円)に充てて対処した結果の残金である。 次年度使用額の61円は,平成26年度請求額と合わせて物品費に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)