2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25560106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
柏原 昭博 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (10243263)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 教育工学 / 知識構築支援 / 擬似力覚 / 認知ツール / タブレットメディア |
Research Abstract |
学習教材から知識マップを作成させる際に擬似力覚を呈示することで効果的に知識構築を支援することを目的として、平成25年度は学習者によるマップ作成操作に応じた擬似力覚呈示を可能とする認知ツールを開発した。具体的には、次の1~3を行った。 1.擬似力覚呈示モデルの構築:知識マップの基本オブジェクトであるノードの配置や移動時に重さを感じさせる、ノード間にリンクを張る際に張力を感じさせるなどの擬似力覚を呈示して認知的示唆を与えるために擬似力覚呈示モデルを構築した。まず、力覚インタフェイス研究などの最新動向を踏まえて、タッチ操作で呈示可能な擬似力覚を検討した。次に、知識の重要度、知識間の関連度などの定量的な認知的示唆に着目し、学習者に与える具体的な認知的示唆を分類した。また、擬似力覚がどの認知的示唆の呈示に適切かを検証し、基本オブジェクトごとに擬似力覚と認知的示唆との対応関係を明らかにした。 2.認知ツールの開発:重要な知識、知識間の関係を表すノード・リンクに擬似力覚情報を埋め込んだ知識マップをオーサリングする環境を構築し、1のモデルに基づきタブレットメディアでのタッチ操作による知識マップ作成に対して擬似力覚を呈示する認知ツールを開発した。本ツールでは、擬似力覚情報を埋め込んだオブジェクトが操作された場合、そのオブジェクトに付与された視覚的動作を実行するユーザインタフェイスを実現している。また、学習者が誤ったマップを作成した場合、誤りの示唆を意図した擬似力覚を呈示する機能を実現した。 3.擬似力覚呈示の有効性評価:開発した認知ツールによる擬似力覚呈示の有効性を調査するケーススタディを実施した。その結果、おおむねモデル化された擬似力覚および認知的示唆が呈示される可能性を確認するとともに、擬似力覚を与えない場合と比較して擬似力覚を呈示した箇所に対応する知識の定着を促進する可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
擬似力覚呈示による知識構築支援を可能とするタブレットメディアベースの認知ツール開発は、これまで順調に進展してきた。一方で、学習者の知識マップ操作に対する擬似力覚呈示から認知的示唆が得られない場合を想定して、当初認知的示唆ガイド機能を実現する予定であったが、擬似力覚呈示モデルの構築を進める過程で、ガイドを与えることよりも、まずは擬似力覚による認知的示唆の呈示可能性を見極めることが重要であるとの認識に至り、認知ツールを用いたケーススタディの実施を優先させた。なお、ケーススタディの結果から、どのようなタイミングで、どのような情報提示が認知的示唆のガイドには必要であるかの知見を得ており、今後ガイド機能が必要になった場合でも十分対応可能である。 以上のことから、ほぼ計画通りに研究が進展していることから、現在までの達成度を(2)と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度実施したケーススタディに引き続き、これまでに開発してきた認知ツールを用いて、さらに様々なタイプの知識マップを対象として、擬似力覚呈示の有効性評価実験を実施する。そして、その結果に基づいて、擬似力覚呈示モデルにおいて取り上げるべき擬似力覚や認知的示唆を新たに見出すとともに、呈示可能な擬似力覚と認知的示唆との対応関係を見直してモデルを洗練する。また、洗練されたモデルに応じて認知ツールにおける擬似力覚呈示環境を改良する。同時に、得られた研究成果を広く公表することで、研究を推進する予定である。
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