2014 Fiscal Year Research-status Report
国際交流力としての英語コミュニケーションの育成プログラム
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25560117
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
瀬田 和久 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50304051)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 異文化理解態度 / 信念対立解明アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の教育プログラムの有用性を評価し,オントロジーと教育プログラムの洗練・実施にとりくんだ.より具体的には,(1)異文化理解力の育成に資する思考促進概念としてのオントロジーの有用性を明らかにする.(2)国際交流力としての異文化理解のための英語議論力育成プログラムの有用性明らかにする.(3)異文化理解への外国人と日本人の意識の差異とプログラム実施による変容を明らかにする,ことを目的として以下の課題に取り組んだ.
【教育プログラムの改善とその実施】表現と思考の明確な区別がないこれまでの英語の議論訓練法では,思考(あるいはメタ思考)レベルではなく表現レベルの事項に学習者の意識が向かい,相手の価値観や前提の違いを理解する異文化理解への気づきが生まれにくい状況にあるとの研究仮説をたて,議論プロトコルの変化と思知での記述および質問紙の内容に基づいて,オントロジーと教育プログラムを評価,改善し,バージョンアップした教育プログラムを実施した.特に信念対立解明アプローチを基礎においた教育プログラムの開発に至った.
【教育プログラムの評価:異文化理解の意識変容プロセス・阻害要因の解明】文化的背景を異とする外国人との相互理解を伴う議論力(国際交流力)を培うためには.(1)デリケートなことの議論を回避する日本人的精神性を変容し,対立の根底にある文化・価値観の違いに目を向け受容する心的素養の醸造,(2)過度に防衛的,攻撃的にならずに異なる文化的背景を推定・理解する思考とその伝達様式の鍛錬に資する教育プログラムの開発が重要との考えのもとで,教育プログラムの有用性を質問紙により評価した.この結果,相手が間違っているのではなく,自分の思考に誤りがあることに気づく効果が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教育プログラムの改善に対応した支援システムの開発が完了し,また今年度新たに実施した国際交流力ワークショップの実施において想定した結果が得られた.また,ワークショップの教材となる事例も新たに収集することができた.ワークショップ実施の規模は大きくないものの,潜在的で曖昧なスキル育成に焦点を当てた教育方法論として一定の効果があることが示唆されたことは,挑戦的萌芽研究の主旨に沿った成果が得られたと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
当該研究で対象とする教育プログラムは,これまで核となる理論が存在しなかった.実践哲学の方法論である信念対立解明アプローチを理論的基礎においた異文化理解力育成のための教育プログラムの普及,洗練に努めたい.
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Causes of Carryover |
当該課題を支える情報システムの開発に関して新しい独自の着想が生まれたため,これを機能として情報システムに実現することに時間を要した.そして,これに伴う教育プログラムの改良を行った.このため計画を変更し,システムを使用した教育プログラムの実践評価とその成果の投稿を次年度におこなうこととしたため未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
教育プログラムの実践評価と国際会議での成果公表を次年度に行うこととし,未使用額はその経費に充てる計画である.
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