2014 Fiscal Year Research-status Report
学校教育における立体映像の機能的価値の解明と活用法
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25560118
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
柴田 隆史 東京福祉大学, 教育学部, 准教授 (90367136)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 立体映像 / 教育 / メディア / デジタル教材 / 小学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、奥行きや凹凸を直接的に表現できる立体映像を、どのように利用すれば教育学習面で効果があるのかを解明し、学校教育における立体映像の使い方を提案することである。 平成25年度(初年度)の検討から、小学校の社会科授業において3D教材を用いることで、児童に細かな観察と深い考察を促し、教育効果を高める可能性があることが示唆された。また一方で、立体映像と平面映像の効果の差異をより明確にし、授業の中で3D教材をどのように利用すべきかを検討する必要性が、今後の課題として挙げられた。そこで、平成26年度(2年目)は、初年度と同様に古墳時代の学習を対象として、立体映像と平面映像による気づきの差異を明確化するための授業実践を行い、立体映像の機能的価値を検討した。また、立体映像を用いた学習形態の検討として、3種類の3Dディスプレイを用いることで、グループワークにおける立体映像の活用方法に関する基礎的検討を行った。具体的には、小学校6年生の社会科の学習において、立体映像を用いる場合と平面映像を用いる場合とを比較し、児童が映像を観察する内容にどのような差異があるのかを検討した。その結果、立体映像と平面映像では気づきの観点が異なり、立体映像を観察することで、平面映像では気づかなかったことに気づいたり、同じコンテンツを平面映像で見た時の勘違いに気づいたりするなどといった効果があることが分かった。それらは、立体映像が新たな教育効果をもたらす可能性を示唆している。加えて、3Dモバイル端末と3Dノートパソコン、3Dテレビの3種類のディスプレイを比較した検討からは、画面サイズが大きいほど、児童の着眼の個数が増える傾向にあることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では学校現場における立体映像の実践的活用について検討するため、研究を遂行するためには小学校や学校教員の協力を必要とする。初年度の研究成果およびその対外発表の効果により、小学校の積極的な協力を得ることができ、研究を実施している。また、3年間で実施する研究内容を様々な状況に応じて検討し、当初は3年目に予定していた、立体映像を用いた学習形態の検討を2年目から前倒しで行った。さらに、当初2年目に予定していた、立体映像を用いることで高い教育効果が期待される学習単元・項目の検討は初年度から取り組んでいる。3年目は、より具体的な検討と初年度からのまとめを行う予定である。以上より、研究の全体計画から考えておおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方策として、立体映像の機能的価値が児童の学習にどのように活かされているのかを、より客観的・定量的に捉えるための授業実践を検討する。具体的には、小学校の2学級を対象として、実験群と統制群を設定した比較検討を行う。また、初年度から検討を継続している、立体映像を用いることで高い教育効果が期待される学習単元や項目に関する調査や検討を行い、研究成果が効果的かつ早期に教育の現場や社会に活用されるよう研究を推進する。
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Causes of Carryover |
計画通り研究費を使用したが、物品購入などでの端数が生じたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し分と翌年度分の助成金を合わせ、当初の研究計画に沿って研究を遂行する。
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