2013 Fiscal Year Research-status Report
協同による知識の体系化・視覚化システムを用いたライティング指導法の研究
Project/Area Number |
25560123
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | 南山大学短期大学部 |
Principal Investigator |
北村 雅則 南山大学短期大学部, 英語科, 准教授 (50455424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩倉 裕子 (大塚 裕子) 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (10419038)
山口 昌也 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語資源研究系, 准教授 (30302920)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 協同学習 / アカデミックライティング / 相互教授 / 教授法 |
Research Abstract |
平成25年度は実施計画として、(1)協同学習や知識の体系化・視覚化に関連する実践研究の調査、(2)予備的な実践(知識の体系化・視覚化・共有化の実現に向けての問題点の把握)と発表、(3)Web ベースの学習支援システムの開発と検証という3つを挙げた。 (1)(2)に関しては、6月に研究代表者の本務校において、担当する授業内で、敬語の使い方、および、悪文の添削を例に知識の体系化・視覚化に関わる試行的な協同学習を実践した。実践計画を練る際に先行研究・事例を調査し、協同学習のモデル・実行例を当該実践に一部採用した。実践の結果および分析結果を、9月に日本教育工学会第29回全国大会において、3月に言語処理学会第20回年次大会において、それぞれポスター発表を行った。両発表とも学習者個人による添削と協同で知識の体系化を行った後の添削の間には、量的・質的にどのような変化があるのかという点に着目した。量的な点では協同の方が添削数が増加するという有意な差が認められたが、論理的な説明手法という質的な点については差が認められなかった。その結果を受け、個人からグループの知識の変化・昇華を促すためには、論理的な説明手法の涵養が必要であることを論じた。 (3)に関しては、(1)(2)の計画と並行して、個人からグループでの知識の変化をたどれるようなシステムの構想を練ってきた。6月に行った実践例をフリーソースのmindmapツールを使うと知識の変化をどのように追跡できるようになるのかということ、および、論理的な説明手法の涵養のためには、その前提として協同での議論教育が必要となるということを、2月に「シンポジウム 「評価」を持って街に出よう-ひととひととをつなぐための評価研究-」において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
知識の体系化・視覚化・共有化に関して初年度に設定した、(1)試行的な実践を行うこと、(2)問題点を洗い出すこと、(3)システムを開発すること、という3点の目的は、おおむね達成できている。(1)(2)に関しては、「研究実績の概要」に示した通り、試行的な実践を行い、結果の検証、問題点の分析を学会で発表している。(3)のシステムに関しては、試行を行えてはいないという点において計画の遅れが生じているのは事実であるが、共同研究者内での試行実験を経て、稼動できる態勢はほぼ整っており、来年度の計画の早い段階に追いつける見込みである。この点においても、おおむね順調に計画をこなしていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は知識の体系化・視覚化・共有化という我々の発想をもとにした授業実践が成立するのかを検証するところから始めた。先行研究の調査、および、試行的な授業実践を通して有効性と問題点を整理できたため、2年目以降は、知識の体系化・視覚化・共有化を促進させるために、支援システムを用いながら、授業を展開できるようにしていくということが大きな目的となる。 中間年度となる2年目については、知識の体系化・視覚化を学習者が直感的・感覚的に表現できる学習支援システムを稼働させた授業実践を行う。システムの開発には見通しが立っているが、運用に関しては学習者のPCスキルに依存するところがあるため、問題が生じてもよいような態勢(例えば紙媒体の併用など)を整え実践を行う。学習者に対する教育効果としては、学習者個人の知識を知識の体系化によって集団の知識へとまとめ上げる際にどのような変化が見られたのかについて、その関係性をシステム上で図示させることによって、個別的な知識を全体的な知識へと昇華させていく過程そのものを学習することを想定している。教員に対する指導資料としても使用できるよう、学習者が図示した知識の体系化の適否をシステム上で把握し、その結果を参照しながら指導項目を設定できるようにすることをもくろむ。また、授業実践においてシステムを稼働させた結果生じた問題を最終年度に解消できるようにもしていく。 最終年度では、中間年度のもくろみに対する問題を検証し、それを反映させた授業実践を行う。また、実践を通して、知識の体系化・共有化・視覚化という研究全体のもくろみに対して、有効性を証明する。その際にも、本研究に一貫する方針として、授業実践を通して結果を批判的に検証し、机上の論に終わらない日本語アカデミックライティングの1つの教授法を提示する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
共同研究者の対面による打ち合わせを3回ほど計画していたが、実際にはメールでの打ち合わせが主となり、東京での打ち合わせが1回しか実現しなかった。そのため、旅費を余らせることとなった。 次年度は、当初の計画通り3回打ち合わせを行う予定であり、共同研究者の勤務地である函館・東京・名古屋のそれぞれを打ち合わせの場所に設定している。学会参加のための旅費とあわせ、当初予算よりも旅費が必要となるため、昨年度の未使用額は相殺できる。
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Research Products
(3 results)