2014 Fiscal Year Research-status Report
イネのプラント・オパール中に内在する遺伝情報の抽出と利用にむけた開発的研究
Project/Area Number |
25560137
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
宇田津 徹朗 宮崎大学, 農学部, 教授 (00253807)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 克典 弘前大学, 人文学部, 特任助教 (00450213)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 遺伝子 / プラント・オパール / 植物遺体 / 栽培イネ / 多様性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の成果により、遺跡土壌からプラント・オパールを多量に抽出し、その中に遺伝物質が残留していることを確認することができた。平成26年度は、さらに、遺跡土壌からのプラント・オパールの抽出法の改善を進めるとともに、確認された遺伝物質のDNA分析については、遺伝物質からイネに由来するものを選択的に取り出し、イネについての遺伝情報を取り出すことの可否を中心に実用性の視点を含めて検討を行った。その結果、以下の成果を得ることができた。 ①遺跡土壌からのプラント・オパール抽出方法の改善 土壌中の粘土粒子を効率よくまた精度高く除去するよう、粘土粒子除去装置の改良を行い、これまでの2倍の効率で抽出が行えるようになった。 ②プラント・オパール中の遺伝物質のDNA分析について プライマーとPCR増幅法などいくつかの手法を用いた結果、遺伝物質からイネの遺伝情報を取り出せることが確認された。さらに、安定して結果を得るという実用的な視点から、DNA抽出に用いる試料の量についても検討を行った。5mg、10mgおよび20mgのプラントオパールについてDNA抽出し、DNAの遺存度合いをPCR増幅法で反復して検討した。結果、10mg以上の試料で抽出したDNA溶液は、DNAコピー数が多い葉緑体ゲノムだけでなく、DNAコピー数が少ない核ゲノムにおいても、安定して標的領域を増幅できることが確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、本研究を構成する2つ柱である「プラント・オパール中の遺伝物質からイネの遺伝情報を取り出すこと」について、可能であると判断できる結果を得ることができた。特に、10mg以上のプラント・オパールから安定した抽出ができる可能性を見いだせた点は、「プラント・オパール中の遺伝情報の活用」の実用性を示唆した成果と言えよう。これは当初の計画をほぼ100%充足したものであり、よって、達成度については、「おおむね順調に進展している。」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は研究計画の最終年度にあたるため、土壌からのプラント・オパールの抽出とそこに残された遺伝物質からの遺伝情報を取り出すDNA分析までを一連の手法として整理するとともと関係学会等での発表を行う。
|
Causes of Carryover |
実験装置の改善が予定したよりも安価に実施できたため、繰越し額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した金額については、今年度の物品費として研究活動の充実に充てる。
|
Research Products
(4 results)