2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25560138
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
水津 光司 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (20342800)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 非線形光学 / テラヘルツ波 / 文化財科学 / 非破壊分析 |
Research Abstract |
多くの物質がテラヘルツ帯において特徴的なスペクトル構造を有している事から、土器の原材料である粘土の違いや、同じ粘土を用いた場合でも焼成条件の違いを非破壊で判別出来る可能性が在る。本提案では、代表者が開発して来たナノ秒領域単色テラヘルツ波光源での知見をフェムト秒励起テラヘルツ波時間領域分光法に適用し、高出力・超広帯域テラヘルツ波時間領域分光装置を構築する。かつ、自作の高性能テラヘルツ波分光装置によって縄文式土器、弥生式土器などのテラヘルツ波分光測定を行い、考古学的な知見との相関関係を検討する。 熱量分析やX線解析等の土器成分の分析手法(破壊分析)との相互比較により、テラヘルツ分光で得られた情報の物理的な意味付けを行うと共に、非破壊解析手段としての有用性を検討していく。初年度は、現有のフェムト秒ファイバーレーザーを励起光源とし、ニオブ酸リチウム結晶をテラヘルツ波発生媒質として、フラットな周波数特性を持つ広帯域テラヘルツ波を発生させる。ニオブ酸リチウム結晶に導波路構造を施し、7.2THzまでの広帯域化を実現・一般的な素子である光伝導アンテナに対して10倍以上の出力増強を実現することを目的とする。励起光源には、基本波の波長1560 nm、第2高調波の波長780 nm、パルス幅60 fsec、平均パワー60 mW、繰返し周波数50 MHzのエルビウム添加ファイバーレーザーを使用した。基本波と第二高調波を空間的に分離し、基本波をテラヘルツ波発生、第二高調波をテラヘルツ波検出に使用した。テラヘルツ波発生には、研究代表者も開発に関わったアドバンテスト社製のチェレンコフ発生ユニットを導入した。テラヘルツ波検出には光伝導アンテナを使用した。熱式検出器であるSiボロメータにより平均パワー計測したところ、従来型の光伝導アンテナにより発生したテラヘルツ波よりも10倍以上の出力が確認出来た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
導波路構造を施したニオブ酸リチウム結晶を用い、チェレンコフ方式によるテラヘルツ波発生を行うことで、従来方式である光伝導アンテナを用いたテラヘルツ波発生に比べ、目標である10倍以上の出力を得る事ができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
従来法である光伝導アンテナをテラヘルツ波発生源としたテラヘルツ分光装置(有効な周波数 0.1-2.5THz)を用いて土器に対して反射分光を試みたところ、縄文土器、弥生土器、須恵器では全く異なる反射スペクトルを得る事ができた。初年度に構築したチェレンコフ方式によるテラヘルツ波発生では、7THzまでのテラヘルツ発生が可能であり、反射分光で得られる周波数情報が大幅に向上する。当該光源を用いた反射分光系を構築し、土器の反射スペクトルを推進していく。 ただし、反射分光の場合には、物性情報を引き出す際にリファレンスとなる信号との比較が難しい。このことが、物性情報の正確性をおおきく損なう原因となる。テラヘルツ波の偏光情報を組み込んだ反射分光を実施することで上記の問題は解決されることから、研究の進捗状況に応じて偏波解析を取り込み物性情報の正確性を担保する。
|
Research Products
(1 results)