• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2014 Fiscal Year Research-status Report

組織的な知識生産プロセスのモデル化とその応用

Research Project

Project/Area Number 25560156
Research InstitutionAoyama Gakuin University

Principal Investigator

水山 元  青山学院大学, 理工学部, 准教授 (40252473)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords知識生産システム / 知識生産プロセス / プロトコル分析 / 知識マネジメント / 創造的会議
Outline of Annual Research Achievements

今年度は,創造的会議の具体的な状況設定として,あらかじめ定性的な問題状況と複数の選択肢が与えられたもとで,どの選択肢を選ぶかを決める集団意思決定をとりあげた.与えられた候補の中からの選択であっても,それらを比較検討するための具体的な評価尺度は与えられておらず,それらを会議の過程で考案し,導入して行く必要がある点で,この状況設定は創造的な側面を持っていると言える.この集団意思決定を,「問題の定義」から「総合評価」に至るまでに,「評価基準の導入と構造化」,「評価基準間の重み付け」,「評価基準に基づいた代替案の評価」を繰り返すプロセスとしてモデル化した.そして,このモデルに基づいて,集団意思決定における知識生産プロセスを解明するためのプロトコル分析手法を提案した.ここに,プロトコル分析とは,会議中の発話をデータとして書き起こし,それらにタグを付与した上で,参加者全員による集合的な思考プロセスをタグの比率や時系列として分析していくものである.提案法では,知識生産の工程面と作業面について,それぞれタグを設定した.工程面については,どの代替案や評価基準についての発話であるかの観点からタグ付けすることとし,作業面については,「問題の定義」,「総合評価」,「評価基準の導入と構造化」,「評価基準間の重み付け」,「評価基準に基づいた代替案の評価」の機能をさらに細分化することでタグを設定した.続いて,提案したプロトコル分析手法を集団意思決定支援ツールの評価に応用し,その有効性を検証した.具体的には,研究代表者らが過去に開発した集団意思決定支援ツールを用いた場合と用いなかった場合とで,集団意思決定における知識生産のプロセスにどのような差が生じるかを提案手法によって解明できることを確認した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度の実施状況報告書で,「今後は,まず,初年度とは異なる状況設定を対象として,これまでと同様の研究内容を実施することによって,提案モデルを一般化することを試みる.2年目はこの作業が中心となると思われる.」と述べた.そして,今年度は実際にその通りの進捗であった.具体的には,研究実績の概要に述べた「あらかじめ定性的な問題状況と複数の選択肢が与えられたもとで,どの選択肢を選択するかを決定する集団意思決定」だけではなく,それ以外にも複数の状況設定に対象を広げており,順調に進展していると言える.
その先では,「創造的会議のコード化データに基づいて知識生産プロセスの動特性を分析すること」および「知識生産を内包したオペレーションのシミュレーションモデル開発」を予定していた.これらについても,まずデータの分析については,傾向の視覚化による特徴の把握などを始めており,特段の遅れは生じていない.また,エージェントシミュレーションについては,サプライチェーンの運用を模したシリアスゲームを開発し,それをプラットフォームとしたゲーミングシミュレーションの試みを開始している.
以上のように,本年度も当初の計画に沿って研究が進んできていると判断できる.一方で,計画を大幅に上回る進捗が見られたわけではないため,最終的な評価区分は,「(2)おおむね順調に進捗している」が妥当であると思われる.

Strategy for Future Research Activity

本研究では,まず,対象オブジェクト,オブジェクトに生じ得る変化(工程要素),変化をもたらす作用(作業要素)の観点から,知識生産プロセスの基本的なモデル化テンプレートを作成したうえで,いくつかの具体的な状況設定のもとで,知識生産の観察実験を繰り返し,そこで得られた発話等の作業データを,提案モデルに従って分析,コーディングしていく.そして,知識生産プロセスのコード化データがある程度集まった段階で,データ分析によってその動特性を明らかにすることを狙っている.また,上記のオブジェクトに関するメンタルモデルを備えた複数エージェントのインタラクションとして,知識生産を内包したオペレーションのシミュレーションを実現し,それに基づいて,オペレーション設計に資する知見を得ることも目的である.
これまでの進捗を踏まえ,最終年度は,データ分析とシミュレーションに力を入れていくことになる.データ分析の面では,プロトコル分析が多大な労力を要する人手による分析であり,それによって蓄積されたデータは,ビッグデータと呼ばれるような膨大なデータではなく,むしろケーススタディの積み重ねのような性質のデータであるため,対話的,探索的に特徴を把握するような分析方法が適していることがわかってきたため,データを視覚化する方法を工夫することになる.また,シミュレーションの面では,シリアスゲームをプラットフォームにしたゲーミングシミュレーションの有効性が明らかになってきているため,その方向で研究を継続し,シミュレーションに適したシリアスゲーム設計とシミュレーション結果の分析の双方の面で,知見を蓄積していく.

Causes of Carryover

学術誌に投稿中の論文の査読が年度をまたがったことなど,成果発表のタイミングのズレが主な理由である.論文掲載料や国際会議の参加費などの費用が,次年度に,旅費やその他として計上されることになる.

Expenditure Plan for Carryover Budget

学術誌に投稿中の論文の査読が終了し,受理された際に,それらの論文掲載料として使用するとともに,新たな論文の執筆,投稿も行う予定である.また,今年度の成果を発表するのに適した国内外の学会は選定済みであり,それらへの参加費,旅費などにも充てる予定である.さらに,会議実験の被験者,実験データの分析作業などへの謝金としても使用していく計画である.

  • Research Products

    (3 results)

All 2014

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Understanding of a Product/Service System Design: A Holistic Approach to Support Design for Remanufacturing2014

    • Author(s)
      T. Sakao and H. Mizuyama
    • Journal Title

      Journal of Remanufacturing

      Volume: 4 Pages: 1-24

    • DOI

      doi:10.1186/2210-4690-4-1

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] リスク事象発想支援のための発散デルファイ法の提案と評価2014

    • Author(s)
      三木賢太郎, 安瀬美知子, 水山 元
    • Journal Title

      日本経営工学会論文誌

      Volume: 65 Pages: 201-210

    • DOI

      http://doi.org/10.11221/jima.65.201

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] サプライチェーンレジリエンスを支える集団意思決定プロセス分析のためのシリアスゲームの開発2014

    • Author(s)
      三木賢太郎, 野中朋美, 水山 元
    • Organizer
      計測自動制御学会 システム・情報部門 学術講演会 SSI2014
    • Place of Presentation
      岡山
    • Year and Date
      2014-11-23

URL: 

Published: 2016-05-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi