2013 Fiscal Year Research-status Report
震災早期復旧を可能にする無線通信技術とGISの連携による次世代供給システムの構築
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25560179
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北野 哲司 名古屋大学, 減災連携研究センター, 寄附研究部門教授 (90644849)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ライフライン / 震災復興 / GIS / 開閉栓作業 / マッシュアップ |
Research Abstract |
本研究は、大規模地震発生時における都市ガス復旧期間の短縮化を目的とした『総合復旧支援地理情報システムプロトタイプ』の基礎研究に挑戦するものである。大規模地震発生時、都市ガスを復旧するためにはガス管の修繕前と後で全需要家を2回訪問する「開栓作業」「閉栓作業」が必要となり、この作業に関わる時間的・人的負荷の多寡が、復旧までにかかる時間に大きく影響する。また、この作業に関する情報の収集や整理を、これまでは紙ベースで行っていたため、それによる時間的なロスも相当あるのではないかと推測される。更に、ガス事業者への実態調査の結果、災害発生時の復旧状況について自治体をはじめとする各方面からの問い合わせが復旧の現場基地に集中し、その対応についても負担が発生している実情があることがわかった。 本研究ではこの開閉栓作業に着目し、アナログ作業をWEB-GISをベースとしたシステムにより代替させることで、それに伴うデータのやり取り、整理、ならびに外部への結果公開までの一連の作業を、円滑に行うことを目指す。 また一方で、情報公開における課題についても注目し、携帯情報端末を用いた現場携帯情報端末システムについての検討に加え、事務所システムにおける結果情報の収集および効果についても重点を置くこととした。これにより、開閉栓作業に関する効率的な情報収集および復旧状況の正確かつ迅速な情報公開に役立てようというものである。 更に、将来的には、本システムから得られた復旧状況の集計データをオープンデータ化し、ガス設備以外のインフラの復旧状況とWEB-GISを用いて重ね合わせることで、被災地域の総合的なインフラの復旧状況を、多くの人が的確に把握できるような仕組みの構築を試行する。 以上
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の構成は、①事務所で使用する地理情報システムの構築、②実現場で使用する現場携帯情報端末システムの構築、③前記①、②で構築した各システムを統合運用する『総合復旧支援地理情報システム(プロトタイプ)の連動検証試験・評価の3つのステップからなる。平成25年度においては、全体構成・仕様の再検討、①のプロトタイプ開発に重点を置いた研究を行った。仕様の検討にあたっては、都市ガス事業者や都市ガス業界団体等にヒアリングを行い、並行して開発が行われている類似のシステムについて調査を行ったほか、東日本大震災時に使用された罹災証明発行システムについても、当時開発・運用に関わっていたGISベンダー、および大学研究者に対してヒアリングを行い、本研究で開発するシステムについての参考情報を得た。調査の結果をもとに、①については下記の機能を実装した(開発中の項目も含む。)。 (ア)現場携帯情報端末システムからのデータ読込機能、(イ)需要家情情報の読込機能 (ウ)需要家情報のジオコーディング及び地図上での位置確定機能、(エ)開閉栓作業結果の集計・全体把握機能 (オ)帳票類の出力・DB化機能、(カ)外部への情報公開を想定したWEB-GISによる開閉栓作業結果の地図表示機能 また②については、上記の通り都市ガス事業者への実態調査を行う中で、既に具体的な開発に着手されていることが判明し、また今後の展開を考える上でも、既に開発中のシステムとの連携を想定したほうが、各ガス事業者における汎用性が高くなることが予想された。そこで本研究内での独自の開発は行わず、当該システムから出力されるデータを①に引き継ぐことで、全体を実現する構成に変更した。以上の機能を実現するべく、平成26年度上期を目途としてプロトタイプを完成させる予定である。 以上
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度においては、まずプロトタイプ開発における未実装部分の作成を優先して行う。プロトタイプの開発が終了した後は、既存の現場携帯情報端末システムとの間での連動について、検証実験並びに評価を実施する。 さらにその後、開閉栓に関わる一連の作業について、現場携帯情報端末システム、事務所システムを使用して円滑に行えるかどうかについても試験・評価を実施する。 なおこれらの実証実験については、名古屋市の都市ガス事業者管内で需要家模擬データを用いて行うことを想定している。また同時に、システムとしての安定性や運用時の利便性、情報セキュリティの面においても評価を行う。 その結果、不具合等が生じた場合には、フィードバックしてシステムの改善を進める。 以上
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究期間は、平成25年度~平成26年度の2年間である。平成25年度には、前述のとおり、都市ガス事業者及び日本ガス協会から協力を得ながら、地震復旧時における開閉栓作業の詳細な作業フロー調査及び開閉栓作業に必要な帳票類の整理を行い、事務所地理情報システムの開発コンセプトをブラッシュアップし、プロトタイプシステム製作仕様書の作成を完了した。現在、このプロトタイプシステム製作仕様書に従い、システム構築を進めており、その開発期間は、平成25年度から平成26年度上期となっている。そのため、その開発費用に充当するために平成25年度予算を次年度(平成26年度)に繰り越すこととした。 既に、平成25年度から事務所地理情報システムのプロトタイプシステムの開発に着手しており、平成26年3月には中間成果報告会を開催しており、順調に推移している。このプロトタイプシステムの開発は平成26年度上期には終了する予定で、当初計画通り進捗するため、予算は計画通り執行できる。また、その途中において、現場携帯情報端末システムデータベースと事務所地理情報システムとの連動検証試験を実施し、その結果、不具合等が生じた場合には、フィードバックしてシステムの改善を進める時間的に十分な余裕もあると考えている。
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Research Products
(1 results)