2013 Fiscal Year Research-status Report
安全な自家造血幹細胞移植に向けたハイスルー・プット残存腫瘍細胞除去法の開発
Project/Area Number |
25560190
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
合田 圭介 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70518696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 大輔 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教 (70634096)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 造血幹細胞移植 / フローサイトメトリー / マイクロ流体 / 白血病治療 |
Research Abstract |
自家造血幹細胞移植は白血病や多発性骨髄腫の治療に有効である。しかしながら自家造血幹細胞移植後のガンの再発など様々な問題が残されている。本研究では、ガン再発を伴わない自家造血幹細胞移植の実現を目指したハイスループット混入腫瘍細胞除去システム(Fluorescence-Activated Cell Purging)の開発を目的とする。 平成25年度では当初の計画に従い光学実験系とマイクロ流体チップの開発と評価を行った。また、平成26年度開発予定であった測定機器による検出系の評価や電子回路のおおまかな作製も行った。平成25年度では、はじめに光学実験系とマイクロ流体チップ作製のために532nm連続波レーザー、ビームスプリッター、光電子増倍管、PDMSなどの備品・部品の購入を行った。備品・部品が到着後、光学実験系において前方散乱光と蛍光の検出用の系を設計・作製した。同時に細胞整列用マイクロ流体チップを作製・評価し細胞が一列に整列されることをハイスピードカメラによって確認した。そのマイクロ流体チップを光学実験系と組み合わせることで蛍光ビーズや染色されたマウス骨髄腫細胞の前方散乱光と蛍光をそれぞれ光検出器と光電子増倍管で検出・評価した。その後、細胞の前方散乱光・蛍光のそれぞれのシグナルを元に自作のアナライザを作製し、そのシグナルをフィルター、アンプ、ロジック回路にかけることで細胞破壊用の機械シャッターの駆動を可能にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において平成25年度で完了予定であった光学実験系とマイクロ流体チップの開発と評価は細胞を破壊する系以外はおおむね完了した。具体的には、マウス骨髄腫細胞を実際の造血幹細胞および混入腫瘍細胞のモデルとして用い、検出系を評価した。また平成26年度の計画である測定機器と電子回路の開発とシステム全体の評価については、その一部であるアナライザの作製・評価を行った。現在は細胞を破壊する系の開発につとめており、細胞破壊するための流速・レーザー強度などのパラメータの最適化を行っている。同時に、作製したマイクロポストアレイのデバイスにサイズの異なったビーズを流すことで標的のサイズ別フィルタリングの性能の評価を行っている。平成25年度に完了予定であった細胞破壊のパラメータ決定が完了していないものの平成26年度完成予定であったアナライザの開発がおおむね完了したので、細胞破壊のパラメータが決定されれば最終目標である細胞の選択的破壊・除去による装置全体としての評価が可能になるため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞破壊のための流速最適化などに向けてマイクロ流体チップの改良を行い、またレーザー強度調整に向けて光学実験系の改良を行っていく。同時に、細胞を効率よく破壊するために細胞に抗体を介して金ナノ粒子をドープすることも検討している。これらパラメータが決定した後には検出系と合わせて装置全体の評価に移行する。また、前方散乱光・蛍光のシグナルの検出を最適化するためにアナライザのさらなる改良も行っていく。装置全体の評価を7月中に終わらせ、その後に論文出版に移行する。研究費は、細胞培養などの生物実験系に必要な消耗品(フラスコ、ピペットなど)、自作アナライザ改良のための電子部品、マイクロ流体チップ作製に必要な消耗品(PDMSなど)に対して使用する。また共同研究者との打ち合わせや論文出版の経費も費用として計上する。
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