2014 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカル医工学技術を駆使した3次元軟骨組織作製法の開発
Project/Area Number |
25560199
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
成瀬 恵治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40252233)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メカのバイオロジー / 機械刺激 / バイオマテリアル / 3次元培養 / 自己集合性ペプチドゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、昨年度(研究初年度)の予備実験をもとに軟骨肉腫細胞(OUMS-27)を用いた三次元培養最適化を行った。OUMS-27はダブリングタイムが40時間以上と比較的長く、また、培地に添加した血清成分がゲルにトラップされて、最終的にELISAでのS/N比を低下させるという問題があった。そこで、従来のゲル内で細胞を増殖させた後に伸展を行う手法は取らず、初めから高濃度で(従来比約3倍 1x10^7cells/ml)で細胞を播種し、24時間後に伸展実験を行った。また、血清は低濃度に抑え(DMEM+2%FCS)、伸展前の約15時間は血清フリーの培地に交換した。 培養期間が短いため、1Hz程度の周期で伸展刺激を加えるとゲルが崩壊する問題が生じた。そのため、ゲル内で3次元培養したOUMS-27については、ゆっくりとした周期的伸展刺激(伸展速度=3sec/1%、伸展率=5 or 10%、伸展保持時間=5min)をかけ、Ⅱ型コラーゲン、アグリカンの産生・遺伝子発現をELISAおよびRT-PCRで確認した。結果、無刺激コントロールに比べて両タンパク質の産生が抑制された。ELISAでは伸展3日後のタンパク量比較、RT-PCRでは伸展1日後のmRNA発現量比較で上記結果が確認された。 従来、コラーゲン内で培養した軟骨細胞に周期的な圧縮刺激を加えるとⅡ型コラーゲンとアグリカンの遺伝子発現抑制が起こることを確認していたが、今回、ゆっくりとした伸展刺激で類似のデータが得られた。また、ペプチドゲル内で静的に培養したOUMS-27からのⅡ型コラーゲン、アグリカンの遺伝子発現量は2次元培養系と比較して高い傾向があることがわかった。これらの点について、スキャフォールドとしてのコラーゲンゲルとペプチドゲルの力学的強度の比較や伸展前の培養期間に起きるゲルの変形などを考慮した詳細検討が必要であると考えられる。
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