2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノ材料工学と組織工学の融合による細胞型バイオ燃料電池の創製研究
Project/Area Number |
25560201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
東藤 貢 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (80274538)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオ燃料電池 / バイオマテリアル / 多孔体 / 複合材料 / カーボンナノチューブ |
Research Abstract |
近年,グルコースの分解時に放出される電子を利用したバイオ燃料電池が注目を集めており,様々な研究が行われている.バイオ燃料電池は一般的な燃料電池と異なり,糖類を燃料とし,触媒には生体触媒を用いるため,安全かつ循環型社会に相応しい発電デバイスであるといえる.またセパレータを必要としないため構造が単純で小型化しやすい点も魅力である.このような理由から,バイオ燃料電池は生体内埋め込み型電源として人工心臓などの医療デバイスへの利用が検討されている.しかし,現状のバイオ燃料電池では発電出力は一般的な燃料電池と比べて非常に小さい.さらに,現在一般的な酵素電極では耐久性に大きな課題を抱えており,それゆえ発電効率かつ耐久性に優れる高機能な電極材料の作製が必要とされている. 本研究では,広範囲な表面積が得られる連通多孔質構造と,優れた導電特性と比表面積をもつカーボンナノチューブ(CNT)に着目し,メディエータを必要としない電極材料としてCNTを分散させたコラーゲン多孔体を作製した.FE-SEMによる微視構造観察を行い,多孔質構造やCNTの分散状態について検討した.また,基本的なバイオ燃料電池を作製し発電性能を測定し,多孔体の電極としての可能性について検討した. 酵素とCNTを分散させたコラーゲン多孔体を作製し,それらを電極として用いたバイオ燃料電池の基本的発電特性を評価した.未架橋のCNT/コラーゲン複合系多孔体は大きな電圧が確認されたものの,構造的に非常に不安定であり,燃料電池用電極としては問題があった.一方,CNT/架橋コラーゲン多孔体は,発電量は小さいが構造的に安定であり電池寿命も長い.酵素量や配分を改善することで発電量の向上が期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目的は,バイオポリマー多孔体を母材として,カーボンナノチューブと酵素を分散させた複合材料を作製し,バイオ燃料電池の電極材料としての可能性を探ることであった.当初はバイオポリマーとしてポリ乳酸を選択したが,圧電性のために不安定な発電特性を示した.そこで,コラーゲンを母材として選択し,カーボンナノチューブと酵素を分散させた多孔質構造体を開発し,これらを電極用材料として用いた簡単なバイオ燃料電池の実験系を開発した.その結果,最大0.1V程度の発電を確認した.このことは,本研究計画で提案した生体適合性に優れるバイオマテリアルがバイオ燃料電池の電極として使用可能であることを示す重要な研究成果であり,次年度の発展研究へと続く重要な結果である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発したコラーゲン多孔体電極材料は,再生医療における組織再生のための足場材料としても利用可能であり,さらに,細胞と多孔体を組み合わせたハイブリッド材料は,細胞を用いたバイオ燃料電池へと発展が可能である.第2年度では,コラーゲン多孔体およびコラーゲン/CNT複合系多孔体と細胞を組み合わせたハイブリッド材料を作製し,細胞の増殖性能,細胞外マトリックス形成の状態等について詳細に調べ,細胞を用いたバイオ燃料電池の開発研究を進める.最終的には,細胞と多孔体を組み合わせたバイオ燃料電池の実験モデルを開発し,発電特性を調査することを目的とする.
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Research Products
(4 results)