2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ材料工学と組織工学の融合による細胞型バイオ燃料電池の創製研究
Project/Area Number |
25560201
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
東藤 貢 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (80274538)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオ燃料電池 / バイオマテリアル / 多孔体 / 複合材料 / カーボンナノチューブ / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,グルコースの分解時に放出される電子を利用したバイオ燃料電池が注目を集めており,様々な研究が行われている.バイオ燃料電池は,一般的な燃料電池と異なり,糖類を燃料とし,触媒には生体触媒を用いるために,安全かつ循環型社会に相応しい発電デバイスであるといえる.また,セパレータを必要としないため構造が単純で小型化しやすい点も魅力である.このような理由から,バイオ燃料電池は生体内埋め込み型電源として,人工心臓などの医療デバイスへの利用が検討されている.しかし,現状のバイオ燃料電池では発電出力は一般的な燃料電池と比べて非常に小さい.さらに,現在一般的な酵素電極では,耐久性に大きな課題を抱えており,それゆえ発電効率かつ耐久性に優れる高機能な電極材料の作製が必要とされている. 本研究では,広範囲な表面積が得られる連通多孔質材料と,優れた導電特性と比表面積をもつカーボンナノテューブ(CNT)に着目し,メディエータを必要としない電極材料としてCNTを分散させたコラーゲン多孔体を作製した.FEM-SEMによる微視構造観察を行い,多孔質構造やCNTの分散状態について検討した.さらに,CNT分散コラーゲン複合多孔体に酵素を分散させた複合系電極材料と作製し,それらを電極として基本的なバイオ燃料電池を作製した.基本的発電特性を測定したところ,発電特性は確認できたが,構造が不安定だった.そこで,コラーゲンに架橋構造を導入することで構造安定性を獲得し,さらに電池の長寿命を達成した.また,細胞を用いた電極材料開発の基礎として,マクロファージ前駆細胞の培養を行い,マクロファージへの分化を確認した.さらに,電極用材料として導電性金属をコーティングしたガラス材料の作製を行い,コーティング材の耐久性を評価した.今後の計画としては,開発した電極用材料にマクロファージを播種,培養し,細胞燃料電池の電極を構築する予定である.
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