2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25560205
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
鮫島 直樹 宮崎大学, 医学部, 助教 (10572521)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 動脈血栓症 / 動物モデル / コンピューターシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋梗塞や脳梗塞などの動脈血栓症は、動脈硬化性プラークが破綻し、そこに形成された血栓が血管内腔を塞ぐことで発症する。プラークの破綻には、脂質に富んだブラーク被膜の破裂(プラーク破裂)と、平滑筋や細胞外基質に富んだプラークの表在性傷害(プラークびらん)が知られている。プラーク破裂の機序については、炎症による被膜の脆弱化が重要視されている。一方、プラークびらんの発生では、血行力学的因子がその一因として想定きれているが、詳細は不明である。本研究はプラーク破綻を予測するシステムの構築を最終目標としており、家鬼動脈硬化モデルにおいて、プラークびらん部位とコンピューターシミュレーション上での血行力学的因子の関連性を検討した。
・動物モデルでのプラーク破綻と血流の物理的要因の検討 家兎大腿動脈の動脈硬化性病変の狭窄によるプラークびらんを誘発し、びらんの分布とコンピューターシミュレーション上の、血行力学的因子(ずり応力、乱流エネルギー、血圧、圧勾配)を解析した。プラークびらんの広がりは、ずり応力、乱流エネルギー、圧勾配と正の相関が見られた。また、びらん発生部位と非発生部位で、ずり応力・乱流エネルギーを比較したところ、びらん発生部位で有意に高値であった。
以上の結果より、プラークびらんの発生において、血行力学的因子が深く関与していることが示唆された。これらの結果を基礎データとして、ヒトの動脈血栓症の予測モデルにむけて更なる動物実験データの収集、剖検症例を用いた人体におけるデータの収集・解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度からの動物実験はおおむね予定通りに実施でき、成果を原著論文として報告できたが、次年度からの主に剖検症例を用いた人体のデータの収集・解析が、急性期の動脈血栓症の症例(通常、主として急性心筋梗塞による死亡例)が想定通りに得られなかったため、過去の症例の予備的検討にとどまった。過去の症例の解析においては、血流との関連を評価する目的で標本が作成されていないため、人体における動脈血栓症予測モデルを検討しえる血管の詳細な3次元構造が得られず、プラーク破綻部位と血行力学的因子の定量的な関連について動物実験と同等の精度での検討ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
人体におけるプラーク破綻予測モデルの検討症例数は、当該年度の剖検症例の内容に左右されるため、研究期間最終まで症例の蓄積を期するが、並行して動物実験での予測精度の向上と、動脈血栓症以外の剖検症例において動脈硬化巣の材料工学的検討を行う。
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Research Products
(2 results)