2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25560208
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
須藤 亮 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (20407141)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 組織工学 / マイクロ流体デバイス / 三次元培養 / 毛細血管ネットワーク / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マイクロ流体デバイスを用いて血管内皮細胞と間葉系幹細胞の共培養を行い、ペリサイトに被覆され安定化された毛細血管の構築を実現することを目的とした。そのなかで、構築された安定化毛細血管の形成過程におけるペリサイトの役割を明らかにすることや、最終的に構築したペリサイトに被覆された毛細血管の三次元的な構造と機能を詳細に検討することに取り組んだ。平成25年度の研究成果により、血管形成に最適なゲルの素材や細胞配置が明らかになった。この結果を踏まえて、平成26年度の研究を遂行し、具体的には以下の成果が得られた。 ①血管形成モデルへの間葉系幹細胞の導入(導入時期の検討): 間葉系幹細胞と血管内皮細胞を播種するタイミングについて検討し、培養の時期段階から同時に播種した方が血管形成を安定して誘導しうることを明らかにした。また、両細胞の接触状態が血管形成プロセスにおいて重要な役割を持つことを見出した。 ②ペリサイト被覆毛細血管の構造解析: これまでの実験によって決定された条件においてペリサイトに被覆された毛細血管が構築されることを立証した。特に、共焦点レーザー顕微鏡による解析を行い、内腔の連続した毛細血管が構築されていることを確認した。さらに、両細胞の相互作用によって形成される血管径が異なることを見出した。 ③ペリサイト被覆毛細血管の機能解析と間質流の影響: 間質流を負荷すると血管の安定化が促進されるため、血管形成の初期段階では間質流を負荷しない条件の方が、血管形成が促進されることを見出した。 以上より、研究期間全体の成果をまとめると、血管内皮細胞と間葉系幹細胞の相互作用を定量的に評価することで血管形成を促進する条件を見出し、ペリサイトの被覆によって安定化された毛細血管網を効率よく構築する組織工学的手法を確立した。この成果は血管網を含む組織再生を目指す組織工学において重要な足がかりとなる。
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Research Products
(14 results)