2013 Fiscal Year Research-status Report
人工材料に対する免疫・炎症反応の網羅的遺伝子発現解析によるin vivo評価
Project/Area Number |
25560218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
柿木 佐知朗 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 研究員 (70421419)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオマテリアル / 炎症 / 免疫反応 / バイオイナート / MPCポリマー / 多孔質体 / 細胞浸潤 / 遺伝子網羅解析 |
Research Abstract |
人工心臓や人工関節、人工肺、人工透析などの人工臓器、人工血管、ステントや歯科用インプラントなどの医療用デバイスは、様々な疾患の治療に用いられている。それにもかかわらず、人工材料という特殊な異物に対する生体反応の詳細は全く未解明である。幹細胞研究の急速な進展を受けて再生医療・組織工学の早期臨床応用が期待される中、細胞移植用担体や足場材料など人工材料の安全性を的確に評価する技術の開発が避けられないことからも、その解明は急務である。 本研究は、人工材料の生体への埋入によって誘起される炎症および免疫反応の機序を、in vivo評価系における遺伝子網羅解析によって体系的に解明することを目的としている。 平成25年度は、バイオイナートな高分子として人工心臓や人工関節のコーティング剤として用いられているMPC(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)ポリマーに対する炎症反応の評価を試みた。MPCポリマーをポリエチレン多孔質体(孔径30および150μm、φ6mm、厚さ2mm)にコーティングし、エネルギー分散型X線分析装置 (EDS)で表面を解析した。多孔質体全体にMPCがコートされていることを確認後、マウス皮下に埋入し、組織反応を経時的に観察した。その結果、MPCをコートすることによって多孔質体周辺の肉芽組織(カプセル化層)の形成や血管の新生が抑制されたことから、想定していたバイオイナートな特性を示すことが分かった。また、MPCをコートした多孔質体内部にも細胞は浸潤していた。遺伝子解析のため、埋入7日および28日後の未修飾およびMPCコート多孔質体の内部に浸潤していた細胞から高純度のtotal RNAを抽出し、マウス全ゲノムを搭載した遺伝子マイクロアレイで遺伝子発現プロファイルの数値化を行った。 併せて、ポリエチレン多孔質基材へのヘパリンを介したbFGF固定化についても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り、MPCポリマーをコートしたポリエチレン多孔質体の作製と表面分析、多孔質体のマウス皮下への埋入と遺伝子マイクロアレイのデータ獲得まで達成した。既に遺伝子マイクロアレイデータの解析にも着手しており、計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、得られた遺伝子マイクロアレイデータを免疫関連の機能に注目しつつ解析する。さらに、免疫担当細胞マーカー遺伝子をRT-PCRで定量的に評価することで、多孔質体に浸潤した免疫細胞のプロファイルを明らかとする。また、炎症に関係するサイトカイン・ケモカイン遺伝子もRT-PCRによって定量的評価し、MPCポリマーに対する免疫反応を総合的に解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会参加等の旅費に他の研究予算を充てることができたため、次年度使用額が生じた。 次年度の物品費、特に実験試薬等の消耗品に繰越分の全額を充てる予定である。
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Research Products
(1 results)