2013 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアのセントラルドグマを科学するナノデバイスの設計
Project/Area Number |
25560219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 勇磨 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (60451431)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬学 / ミトコンドリア / ナノマシン / 発現制御 / 薬物送達システム |
Research Abstract |
本申請研究では、ミトコンドリア(Mt)を遺伝子レベルで制御するシステムを構築し、Mtのもつ多彩な生物学的機能の基礎的理解を深め、細胞機能を新たなアプローチから理解する。具体的には、Mtセントラルドグマ(複製・転写・翻訳)が営まれているMt最内部(Mtマトリクス)を標的とし、「機能性核酸によるRNA のノックダウン」および「人工Mt-DNA ヌクレオイドによるMt外来遺伝子発現」を実施する。H25年度は、下記の項目を中心に研究を遂行した。 1. Mtマトリクス送達核酸キャリアの基盤構築: Mtの2枚膜を突破しMtマトリクスへの核酸送達を実現するために、Mt外膜と内膜それぞれに最適な膜融合能を有するMtマトリクス送達核酸キャリアの構築を試み、従来型のR8-MITO-Porterと比較して、Mt外膜および内膜との融合能が高い新規組成を探索する事に成功した。また、内因性のMt移行性ペプチド/RNAをキャリア表面に提示したMITO-Porterの構築にも成功し、生細胞Mtへの送達効率を飛躍的に上昇させる事に成功した。 2. 細胞内動態の最適化およびMt-RNAノックダウンの検証: キャリアの細胞取り込み能評価および細胞内動態解析情報を基に、キャリアの核酸送達能を向上させる事に成功した。また、アンチセンスRNAをMITO-Porterを用いて細胞Mtに送達し、標的mRNAおよびタンパク質をノックダウンする事に成功した。 3. Mt 発現DNAベクターの設計・構築:天然型mtDNAの大部分を保持したΔmtDNA(約10,000bp)を有するMt発現DNAベクターの構築を試みたが、大腸菌株での構築は達成できなかった。次年度に、新たにMt 発現DNAベクターを設計し、遺伝子発現の検証を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Mt外膜と内膜それぞれに最適な膜融合能を有する新規組成のMITO-Porterを探索する事に成功した。さらに、内因性のMt移行性ペプチド/RNAをキャリア表面に提示したMITO-Porterの構築し、生細胞Mtへの送達効率を飛躍的に上昇させた。また、アンチセンスRNAをMITO-Porterを用いて細胞Mtに送達し、標的mRNAおよびタンパク質をノックダウンする事に成功した。一方、遺伝子発現の検証に関しては、送達する遺伝子ベクターの再設計などが必要であることが確認されたが、次年で到達目標を達成すべく万全な計画を立案している。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は、前年度までに確立した技術を統合し、人工Mt-DNAヌクレオイドをパッケージングしたMITO-Porterを構築し、生細胞Mtを標的としたMt 遺伝子発現制御の検証および発現制御時の細胞機能を評価する。 1. 人工Mt-DNA ヌクレオイドの構築およびMITO-Porterへのパッケージング:目的遺伝子pDNA をナノ粒子化した人工Mt-DNA ヌクレオイドをMt移行能が最適化されたMITO-Porter にパッケージングし、単離Mt マトリクスへの分子送達を試みる。遺伝子のMt マトリクス送達は、定量的PCR 法によって測定し最適化する。新たに、Mt特異的プロモーターHSPを有するpDNA骨格(pHSP)に、外来タンパク質をコードするMt遺伝子コドンを挿入したMt遺伝子発現pDNAを設計・構築する (準備を進め既に本遺伝子の構築を終了している)。また、人工Mt-DNA ヌクレオイドを細胞用キャリアにパッケージングし、その細胞内動態を観察する。 2. Mt 遺伝子発現の検証および細胞機能評価: 人工Mt-DNA ヌクレオイド搭載MITO-Porter を用いて、生細胞Mt における遺伝子発現を含むMt セントラルドグマの再現を検証する。転写過程は、逆転写PCRによってMt 内のmRNA 量を定量し、翻訳過程はウエスタンブロットなどで外来タンパク質発現を評価する。さらに、疾患細胞Mt に正常のmtDNA を送達し、その後、膜電位を測定して疾患細胞の機能回復を評価する予定である。
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[Book] 応用が拡がるDDS2013
Author(s)
秋田英万、山田勇磨、畠山浩人、林泰弘、原島秀吉
Total Pages
578 (169-179)
Publisher
株式会社エヌ・ティー・エス
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