2013 Fiscal Year Research-status Report
Sonochemical internalization法の確立
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25560224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大槻 高史 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80321735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 敦史 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50302774)
中田 栄司 京都大学, エネルギー理工学研究所, 講師 (70467827)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | SCI / 超音波 / 動物細胞 / CPP / 音増感剤 |
Research Abstract |
本研究では、Sonochemical internalization (SCI) 法という「細胞質内への物質導入を超音波で誘導する方法」を提案し、開発に取り組んだ。 細胞に投与した場合にエンドソームにトラップされてしまう細胞内侵入性ペプチド(CPP)融合蛋白質をエンドソームから出すための起爆剤として、「超音波に応答して活性酸素種を出す音増感剤」の利用を検討した。本研究では、細胞内に入るがエンドソームに蓄積してしまう①CPP融合蛋白質、および、②「CPP融合RNAキャリア蛋白質とRNAの複合体」を対象として、これらの細胞質内導入を超音波で誘導する方法(SCI法)の確立を目指す。本年度、取り組んだ項目は以下の通りである。 1)音増感剤の探索:超音波照射時にROS生成を介してエンドソーム破壊を引き起こすような音増感剤を探した。市販の有機色素の中から探し出し結果、超音波照射時にROSの生成を引き起こす色素が複数見つかった 2)蛋白質に付加可能な音増感剤の合成:既存の有機小分子が音増感剤として機能することが既に報告されているが、既知の音増感剤でSH基などを介して蛋白質に結合可能な官能基をもつものは市販されていない。そこで、マレイミド基を有する音増感剤の合成を行った。 3)SCI法の試行:細胞内に侵入してエンドソームに局在する機能分子として、筆者らが開発したCPP融合型RNAキャリア蛋白質・RNA複合体を用いた。 この複合体分子に音増感剤を付加したものを培養細胞に投与した後、超音波照射を行った。照射強度と照射時間を変えて行ったところ、強い照射条件において、複合体分子を超音波依存的にエンドソームを脱出させ細胞質へと運ぶことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従い、音増感剤の探索、蛋白質に付加可能な音増感剤の合成、SCI法の試行を全て行うことができた。そのうえで、SCI法がおよそ確立したと言えるようなデータを得られていることから、当初考えていた以上に、研究が進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は、音増感剤修飾CPP融合型RNAキャリア蛋白質・RNA複合体を用いてSCI法をおよそ確立することができたが、今後、最も効率よく毒性の低い導入のために、目的物の添加・インキュベート条件および超音波照射条件を検討する。また、細胞内導入だけでなく、導入後の機能(RNAi効果)が現れるかどうかも確かめる。すなわち、超音波応答性RNAキャリアとRNAの複合体を細胞内に導入してRNAの機能を確認する。 ここでは、anti-EGFP配列をもつshRNAによるRNAi効果を調べる。 EGFPを安定発現するCHO細胞に対して、キャリア/RNA複合体を投与し、超音波照射ののちに、EGFPの発現抑制を指標にRNAi効率を評価する。 加えて、CPP融合型RNAキャリア蛋白質・RNA複合体だけでなく、CPP融合型アポトーシス誘導分子を用いて、同様なことが可能かどうかを検証し、本手法の汎用性を示す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度、研究代表者(大槻)は超音波照射装置を買わずに、研究分担者(原田)から何度も借りて実験を遂行した。しかし、装置の宅急便の繰り返しによる装置故障のリスクもあるし、一方の研究者しか超音波照射実験ができなかった。より研究をスムーズに進めるために、次年度に研究代表者の方で超音波照射装置の購入を予定しているが、そうすると次年度の消耗品費が不足するため、消耗品のための物品費を残しておく必要があると判断した。 次年度は超音波照射装置(98万円)を購入し、残りの額を研究代表者と研究分担者の消耗品費(32万円程度)および旅費(10万円程度)として予定している。
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Research Products
(2 results)