2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25560230
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
青柳 隆夫 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (40277132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荏原 充宏 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (10452393)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ポリエチレングリコール / 鉄イオン / 配位結合 / ゲル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度調製に成功した、末端にリン酸基を有する4分岐型ポリエチレングリコールと遷移金属イオンとのゲル化反応を詳細に追究することにより、配位結合の安定性を調べた。具体的には、得られたポリマーにナトリウム、マグネシウム、クロム、イットリウム、ガドリニウム、カリウム、、カルシウム、鉄(Ⅱ)ルビジウム、鉛、セシウム、バリウム、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、バナジウム、ガリウム、鉄(Ⅲ)の各イオンを所定濃度添加して、ゲル化挙動を調べた。その結果、これらのイオン種によってゲル化時間および塩酸酸性下での安定性を評価した。その結果、アルミニウム、バナジウム、ガリウム、鉄(Ⅲ)のみがゲル化反応を生起し、それ以外はゾル状態を維持した。このゲル化したイオンの配位子置換速度定数(水分子を配位子とした時、どの程度で配位子が交換しているかの指標)を調べると、その程度は上述の調査したイオン種の中ではやや小さい値であり、これが、スムーズなゲル化に寄与したものと考えられた。クロムとルビジウムはさらに小さい配位子置換速度定数を指名したが、これらはその置換速度が小さすぎたために、ゲル化に至らなかったと考えられる。さらに、本研究の目的である鉄イオンに関しては2価のイオンはゲル化に至らず、3価の場合のみゲル化が起こった。そこで、アスコルビン酸の還元および過酸化水素の酸化反応を利用して、価数が変化したときのゲル化挙動を追究した。その結果、3価の時のみゲル化が起こりその反応は可逆的であった。 実際に生体内のヘモグロビンに結合している鉄は2価であり、酸化反応を連動させながら結合させる必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度リン酸基と各種陽イオンとの反応を詳細に追究することにより、配位結合による鉄イオンの結合メカニズムを明らかにすることができた。また他のイオン種との比較によって、生体にに豊富に存在するカルシウムイオンではゲル化が進行せず、当初の目的を達成できる見通しである。最終年度、これらの知見に基づいて、生体環境を模倣した条件下での鉄イオンの結合を詳細に調べる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、合成したリン酸化PEGとFe(III)との親和性および選択制を電位差滴定法、分光光度法およびサイクリックボルタンメトリーにより検討する。この際、現在使用されている鉄キレート剤・デフェラシロクスの全生成定数(Logβ値)および鉄親和性指数(pM値)を基準値とする。これらの実験は、生体条件と同等の塩濃度、血清タンパク質存在下で行う。リン酸化PEGを用いて、血漿中でのタンパク結合率を測定する。通常の鉄キレート剤の主な結合タンパクは血清アルブミンであるため、ヒト血清アルブミン(40g/L)に対するタンパク結合率を10~100μg/mLの濃度範囲で分光光度計(現有)を用いて測定する。
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Research Products
(3 results)