2015 Fiscal Year Research-status Report
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25560230
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
青柳 隆夫 日本大学, 理工学部, 教授 (40277132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荏原 充宏 国立研究開発法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (10452393)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ポリエチレングリコール / 鉄イオン / 配位結合 / ゲル化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度の引き続き、分岐型のポリエチレングリコールと鉄イオンとの相互作用によるゲル化の可否について絞り研究を進めた。これまで、4分岐型のポリエチレングリコールを用いて各種イオンとの相互作用を調べてきた。しかし、最終目標として血液中のタンパク質やその他、夾雑物としての各種生体成分の存在下での鉄イオンの結合のために、1分子あたりの結合確率が高くなると考えられるリン酸基を増加させる必要がると考えられた。そこで、8分岐のポリエチレングリコールを用いて同様の実験を試みた。分子量は変わらず1分子あたりのリン酸基の数を2倍に増やすことができる。8分岐のポリエチレングリコールと塩化ホスホリルを、テトラヒドロフラン中、ジイソプロピルアミン存在下で反応させた。反応終了後ヘキサンに投入して沈殿を回収後、乾燥しその後大量の水に溶解させて一週間透析膜を用いて精製した。精製後、凍結乾燥して目的物を得た。この試料を用いて水溶液を作成し、塩化鉄(Ⅱ)および塩化鉄(Ⅲ)の水溶液と混合してゲル化を確認した。これまでの結果と同様に2価の鉄イオンではゲル化を進行せず3価のイオンのみでゲル化が観察された。今後、透析膜にリン酸基修飾ポリエチレングリコールを溶かし、外液に鉄イオンを溶解させたときの外液の鉄イオンの減少量を定量する。また、タンパク質としてアルブミンを溶解させた溶液中で同様の挙動が発現するか、観察する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終年度、前所属先より現所属先に異動したが、研究室の整備が思いのほか時間がかかってしまった。このため、最終年度予定の鉄イオンの定量に基づく研究の妥当性の見極めを行いたかったが、遅延してしまった。しかし、材料のバリエーションを増やすことができたので、これまでの試料と合わせて、目的を達成したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
輸血後鉄過剰症の治療として経口で投与できる既存薬の有効性や効果を上回る鉄キレート剤の開発を目指している。既存薬は長期的な副作用として,腎障害や肝機能害、聴力障害,白内障を引き起こす可能性が報告されておりまた、血清クレアチニンの増加が現れることがある。これらを鑑み、当初の目的の鉄キレート能の定量と、血液中での性能発揮の可能性を明確にするとともに、血球細胞や組織細胞との接触によってもそれらにダメージを与えないことも評価したいと考えている。
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Causes of Carryover |
27年度より現所属に異動したが、研究室立ち上げに予想以上の時間を費やしたために、予定していた実験が実施できなかった。研究機関の延長を申請し、許可されたために28年度のその予定実験を実施する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
必要な試薬および消耗品に使用予定である。
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Remarks |
補助事業期間延長承認 平成28年3月22日
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