2013 Fiscal Year Research-status Report
ソノインジェクション法の実現に向けた光ピンセットの改良と細胞微小培養容器の開発
Project/Area Number |
25560233
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
工藤 信樹 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (30271638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
繁富 香織 北海道大学, 情報科学研究科, 研究員 (90431816)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マイクロインジェクション / 超音波 / 微小気泡 / 光ピンセット / マイクロ流路 |
Research Abstract |
本年度は,我々がこれまでに開発した微小気泡捕捉用光ピンセット装置を改良して気泡の捕捉能を向上することと,細胞膜張力が生体に近い状態で細胞培養が可能な微小培養容器を開発することを目的に検討を行った. ◎光ピンセットの気泡捕捉能の改善 以前開発した光ピンセット装置では,カバーガラス下に浮いている微小気泡を移動することはできたが,カバーガラスに培養した細胞の上に気泡を移動することは難しかった.そこで,補足ビームの形状をラゲールガウシアンからベッセルに変更することにより左右方向への気泡補足力を約2倍に向上し,その結果,気泡を容易に細胞上へ移動できるようになった.上下方向への気泡移動についても検討したが,補足力を増強すると放射力も増加して気泡がビームから逸脱する結果になり,成功していない. ◎マイクロ流路作製プロセス立ち上げ 微小培養容器作製のため,フォトリソグラフィ技術を用いたマイクロ流路作製プロセスを立ち上げた.感光材料としては,百ミクロン単位の厚さも実現できるSU-8を用いた.露光用マスクは大学内オープンファシリティもしくは外注で作製し,感光剤塗布は科研費購入したスピンコーターを使用し,露光装置はナノテクプラットフォームの装置を借用することとした. ◎微小培養容器の設計試作 ガラス基板上に単層培養した細胞は仮足を伸ばして進展するため,細胞膜の張力が増大し,膜損傷の修復能が低下すると考えられる.そこで細胞膜張力の調整を目的に,直径が20~2000ミクロン,深さ約20ミクロンの微小ウエルを上記プロセスを用いて作成した.ウエル寸法とその中に入れる細胞数により接着面積を制限した状態で細胞培養が可能であることを確認し,膜張力制御の可能性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
◎光ピンセット技術に関し,目的であった接着細胞上への気泡移動は容易になったが,気泡の上下方向の制御はまだ実現できていない.ほぼ目的は達成されたと考えるが,さらに上下方向制御に関する検討を行う. ◎マイクロ流路作成技術の作成プロセスはほぼ確立された.これを用いた細胞培養用微小ウエルの作成も実現し,ウエル内で実際に細胞培養ができることも確認した.しかし,細胞張力の制御幅が,細胞膜の修復率の変化を生じるのに十分であるかどうかは検証されていない.また,ウエルは作製できたが,流路の構成はまだ行っていない. ◎細胞膜の張力を制御するもうひとつの方法,マイクロコンタクト法に関する検討が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
◎光ピンセットの改善に関し,引き続き補足力の改善について検討する. ◎微小ウエルについて,ウエル内で細胞を培養できることを確認した.しかし,修復率の変化を生じるほど細胞張力の制御が行われているかはこれからの検討である.今後,ウエルを用いたソノポレーションを通じて確認を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
◎今回,予定していた露光装置(900千円)の購入を見送り,北海道大学オープンプラットフォームの露光装置を利用した.その購入費用の一部を,消耗品の購入に配分したこと,流路作成,マイクロコンタクト法検討が遅れたことから,未使用金が発生した. ◎最適な培養容器の検討を行うために,作成用のマスクの作製に多めの費用を割り当てる. ◎微小流路の作製に関する検討を行うための消耗品購入に費用を用いる. ◎細胞膜張力制御の方法として,マイクロコンタクト法について検討する.このための消耗品購入に費用を用いる.
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Research Products
(15 results)