2013 Fiscal Year Research-status Report
血糖値センサー装着のステルス化による安全で快適な糖尿病征圧ストラテジー
Project/Area Number |
25560234
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石幡 浩志 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40261523)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 洋子 (岩松 洋子) 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50261524)
島内 英俊 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70187425)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 血糖値計測 / 歯周病 / 再生治療 / ティッシュメンブレン / 純チタン / チタンメンブレン / 微細加工 |
Research Abstract |
本研究は現在、歯周組織再生療法に用いられている外科的療法の機会を捉え、現在、糖代謝疾患治療法に用いられている持続的血糖値計測装置(CGM)を歯周組織内に導入しようとするものである。 当該年度においては、歯周組織の内部にCGMを設置する上で、CGMは電子媒体であることからこれらを歯肉下に格納するには薄い膜状であり、歯槽骨面にフィットするようフレキシビリティーを有する必要ある。しかし一方で、歯肉組織下に埋設できるGoretexなどの既存品はポリマー製で剛性が低いのでCGMの駆体を保持することができない。 そこで本研究では生体親和性が高く,強度を保つ純チタン(純度99.6%以上)薄板(厚さ15μm)を材料とした.そしてこの純チタン薄板全体にわたり,孔径φ20μmの微細で均一な貫通孔を,高密度(孔間距離50μm)に設け,埋設で周囲組織に悪影響を与えないフィルター機能を付与した.これをCGMの基板とすることで、薄い歯肉内において組織内血行不良を防止した計測装置の格納が可能となる。開発したチタンメッシュは15μmの薄さでも十分な強度を確保した。 これを実際にビーグル犬下顎大臼歯の分岐部に形成した骨欠損を被覆するバリアメンブレンとして適用することで、歯周組織再生療法の治療に併せて導入するこれまでに無いCGMの基板として利用可能であることを実証した。すなわち開発したチタンメッシュを歯槽骨、顎骨再生治療に利用する際に、その効果を左右すると見られる糖代謝機能をモニタリングすることで、局所における再生療法と共に全身的な健康増進を図る事のできる一石二鳥の効果を期待するものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は開発型課題であり、新規の製品創成を行うことに加えて、開発品をin vivoで検証する必要がある。よって一般的な調査研究と比べれば、その実行には事前の準備を含めても3年は要するところと見込まれていた。しかし本研究では、この研究開発の最も重要なファクターである歯周組織内への電子機器の組み込みについて、その基板となる特殊な純チタンメンブレンの開発に成功、このメンブレンを実際に動物に埋め込むまでに進捗した。たった1年で機器の主要部となる埋め込み法を動物実験で実証するまでに至ったことは、極めて速い進捗であると考えられる。既にチタンメッシュが臨床応用されていることを考慮すれば、比較的早期の臨床応用を期待できる有望な開発アイテムとも考えられるので、本研究の進捗はその度合い以上に成果としての有益性が高いものと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は既に実用化されている皮下埋め込み型の持続的血糖値計測装置(CGM)を粘膜下埋設用に改装した電子媒体を、開発したチタンメッシュに配置し、動物試験を行いその有用性を実証する。電子媒体は非接触で体外にある通信端末とコミュニケーションを行い、臨床においてチタンメッシュを埋設する期間として平均的な数ヶ月程度のモニタリングを実施する。 本製品は、歯科領域のみならず、骨を治療する整形外科、形成外科など多領域での応用が可能である。硬組織再生治療のために与えられたチタンメッシュの体内埋め込みの機会を上手に利用して、同時にメタボリックシンドローム対策を行うというユニークさとメリットは新たな医療技術の開拓につながるものであり、患者への大きな福音となるだろう。 一方で本開発品が実用化される場合、クラスIIIの高度管理医療機器に該当することから、その生産には最高レベルの品質と安全性を担保する必要がある。加えて、医療機器としての薬事承認に必要な諸般の手続きを行っていかなくてはならない。よって、その生産体制を確立することも研究成果を実用化し社会に還元するために、研究計画進捗の上では避けて通ることができないだろう。そのような観点から、開発品の製造コストを抑えるためのレーザー加工装置の工夫や、製造歩留まりを維持するための生産体制の確立が求められるので、今後は参画企業との技術的な連携を十分に行いながら進捗させるつもりである。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
参画企業の技術支援等によって、歯周組織内埋め込み型チタンメンブレンが、当初予定されていた見込額より安く開発することができたため。 今後見込まれる計測装置のチタンメッシュへの組み込みによる開発品のプロトタイプの作成を行うと共に、引っ張り試験等による物理的耐久性および培養細胞を用いた生物学的安全性を検証する。またビーグル犬の歯周組織に本開発品を適用した実証試験を実施する。 我が国では昨年、CGMが保険適用され、糖代謝疾患治療への利用の機運が高まっているが、既に欧米ではCGMによる糖代謝疾患治療が普及している。また、特に欧州ではチタンメッシュを利用した顎骨再建治療が盛んである。このような状況を踏まえ、欧米でのこれら医療機器の適用を実態を把握し、我が国で開発品を実用化する上で有益な施策を行うための調査を行うため、医療先進国デンマークにおける歯科大学の訪問を予定している。
|
Research Products
(1 results)