2013 Fiscal Year Research-status Report
超臨界流体質量分析システムを用いたがん診断システムの開発
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25560237
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉田 優 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00419475)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超臨界流体 / 質量分析 / がん診断 / バイオマーカー |
Research Abstract |
日本社会の高年齢化に伴い、がんによる死者数は増加の一途を辿っている。そのため、治療可能ながんを簡便かつ非侵襲的に、より早期に発見できる診断法の開発が求められている。これまでに、様々ながん患者血清中の水溶性代謝物を網羅的に解析してきた。それぞれのがん特異的、かつ、早期より変動する代謝物を同定し、これらを用いた「がんプロファイリング診断システム」を開発している。しかし、これまでの分析システムでは、さまざまな疾患に深く関与すると想定されている脂溶性物質、特に、酸化脂質を網羅的に解析することができない。そこで、超臨界流体クロマトグラフィーにタンデム四重極型質量分析計を接続した新しい分析システムを構築し、血清中の酸化脂質を含む脂質を網羅的に解析することを目的した。はじめに、超臨界流体クロマトグラフィー/タンデム四重極型質量分析システムによる血清中脂質分析ためのMultiple Reaction Monitoring(MRM)法による代謝物データベースを作成した。これにより、酸化カルテノイド類、酸化リン脂質などの酸化脂質(エポキシ体、ケト体、ヒドロキシ体、ヒドロペルオキシ体、ジエポキシ体、ジケト体、ジヒドロキシ体、ジヒドロペルオキシ体)を分析できるようになった。続いて、超臨界流体クロマトグラフィーにおけるモディファイヤーの添加や温度、背圧等の条件検討を行い、幅広い分離モードが可能となる血清中酸化脂質分析システムを構築できた。現在、構築した血清中酸化脂質分析システムを用いて、血清検体の分析を進めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現時点で、超臨界流体クロマトグラフィー/タンデム四重極型質量分析システムによる血清中脂質分析ためのMRM法による酸化脂質代謝物データベースの作成が完了しており、また、超臨界流体クロマトグラフィー/タンデム四重極型質量分析による血清中酸化脂質分析システムも構築できた。生体試料の評価に耐えうる血清中酸化脂質分析システムの構築に少し時間がかかり、予定より研究の進捗が少し遅れているが、随時、血清分析を進めている状況にある。また、本研究で使用するための組織の収集も進んでおり、予定検体数が収集でき次第、分析を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究において、超臨界流体クロマトグラフィー/タンデム四重極型質量分析による血清中酸化脂質分析システムも構築できており、この血清中酸化脂質分析システムを用いて、現在、血清分析を進めており、今後も、引き続き、血清分析を実施し、その結果に基づいて、統計学的評価を行う。また、現在、収集を進めている組織検体の分析も、予定収集検体数に達した時点で実施する予定になっており、研究計画の変更はない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
生体試料の評価に耐えうる血清中酸化脂質分析システムの構築に少し時間がかかり、予定より研究の進捗が少し遅れたことから、平成25年度の予算を一部、繰り越すこととなった。 繰り越した予算に関しては、構築した血清中酸化脂質分析システムによる血清分析に使用する各種消耗品(バイアルやチューブなど)の購入に使用する。
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