2015 Fiscal Year Annual Research Report
血液脳関門標的化バブルリポソームによる脳実質組織への超音波核酸デリバリーシステム
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25560240
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
根岸 洋一 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (50286978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 教夫 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (50318193)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 集束超音波 / 血液脳関門 / バブルリポソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの検討において、バブルリポソームと頭蓋外からの集束超音波(HIFU)照射の併用により、BBBの透過性が亢進するとともに、脳内への遺伝子導入が可能となることを明らかとしてきた。さらに、BBB透過後の核酸・遺伝子に神経細胞への選択性を付与することは、極めて重要と考えられる。そこで、神経細胞のニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)への結合により、導入されることが知られているRVG29ペプチドにカチオン性ペプチドを連結させた融合ペプチドを利用して、polyplex搭載型バブルリポソームの作製を試みた。はじめにRVG29融合ペプチドとルシフェラーゼをコードしたプラスミドDNAとの複合体(ポリプレックス)を調製し、その物性をアガロースゲル電気泳動により、確認した。結果、N/P比=10以上では、ほぼ完全にポリプレックスを形成できていることが示された。また、粒子径は、50 nm程度であり、ゼータ電位は、+10程度であった。このポリプレックスの受容体選択的な遺伝子導入が可能かを、Neuro2a細胞(神経芽細胞腫由来でnAChRを発現している)を用いて調べた。結果、Hela細胞(nAChRネガティブ)への遺伝子発現と比較して、Neuro2a細胞では、顕著な発現レベルの増強が認められ、ポリプレックスの細胞選択性が示された。さらにフローサイトメトリー(FACS)による解析から、アニオン性脂質であるDPPGを基本脂質としたバブルリポソーム(AnBL)への本ポリプレックスの搭載が認められた。以上より、神経細胞選択的なポリプレックスを搭載させたバブルリポソームの作製に成功したことは、HIFU照射併用によるBBB透過性亢進のみならず、神経細胞選択的な核酸・遺伝子デリバリーシステムの構築に繋がるものと期待される。
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