2014 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲血糖値計測を具現化する検出目的信号の『空間的』・『成分的』分離識別法の研究
Project/Area Number |
25560242
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
石原 康利 明治大学, 理工学部, 教授 (00377219)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 血糖値 / 非侵襲 / 光音響 / 近赤外光 / PAS / グルコース |
Outline of Annual Research Achievements |
近赤外光を利用した非侵襲血糖値計測法の実用化を阻む課題の一つとして、生体水等に起因した不要な信号成分がグルコース濃度に寄与した信号に重畳することが挙げられる。本研究では、毛細血管網に含まれるグルコース濃度に寄与した信号を選択的に検出するために、光音響分光法に基づく血糖値計測において、(1)目的としない生体水等の信号成分を分離識別する技術、(2)目的としない表皮周辺から生じる信号成分を空間識別する技術の確立を目指している。 生体水に起因した信号成分を抑制するために、観測光と同時に水の吸光波長に応じたレーザ光を照射することを提案し、平成25年度には物理現象を確認するための計測システムの構築を予定していた。しかし、導入した光変調可能なレーザダイオードドライバがカタログ性能を満足しなかったことから、その対策に6ヶ月以上を費やし、当初の研究計画から大幅に遅れていた。平成26年度は、新たなレーザ計測システムを構築し、所望とする性能が達成されることを確認した後、2 mm角セルに入れた純水に励起光(1450 nm)を照射すると、観測光(1600 nm)強度が励起光強度・期間に応じて変化することを確認した。また、グルコース水溶液(濃度:0~20%)に励起光を照射した場合に、グルコース濃度1%当たり観測光強度が約1%変化することが明らかになった。現時点では、励起光の照射による観測光の変化は微小であり、また、この変化がどのような物理現象に基づくのかが明らかになっていないものの、励起光の照射により、観測信号に含まれる水信号の寄与を推定できる可能性が示された。一方、変調周波数(1300~6600 Hz)を変化させることで、生体を模擬したシリコーンゴム表面から5 mm程度の深さの信号源分布を算出できる可能性を光音響信号の数値モデル化、および、基礎実験により確認した。
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