2014 Fiscal Year Research-status Report
三次元動作解析を用いた頚部可動域計測法の開発と嚥下リハビリテーションへの応用
Project/Area Number |
25560252
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
緒方 直史 帝京大学, 医学部, 教授 (10361495)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 康雄 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80595968)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 三次元動作解析 / 頚椎 / 可動域 / えん下障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
頚部の可動域制限により嚥下障害が増悪することが示唆されているが、頚部可動域については三次元動作解析を用いた詳細な計測法は確立されていない。本研究の目的は、頚部可動域を三次元動作解析装置によるリアルタイムで計測する新たな手法を確立することである。さらに、嚥下障害と頚部可動域の関連を明らかにし、より効果的な嚥下訓練の開発に繋げる基礎的検討を行う。当初計画通り、1.健常若年者ならびに高齢者での頚部可動域の三次元動作解析装置を用いた計測、2.頚部可動域制限を来す疾患患者での頚部可動域の三次元動作解析装置を用いた計測、ならびにその嚥下機能評価、3.嚥下障害患者での頚部可動域の三次元動作解析装置を用いた計測、4.嚥下障害患者に対する頚部可動域訓練後の、頚部可動域と嚥下機能変化の検証を行ってきた。特に1.での健常若年者の対象人数を増やし、さらに当該年度では高齢者ならびにえん下障害を有する患者での対象者を増やし、頚部可動域測定を行ってきた。健常者での三次元動作解析装置VICON MX(VICON Motion Systems社)を用いた三次元動作解析については、その信頼性と妥当性が十分証明され、レントゲン計測による可動域とCROM III (HOSPEQ社)での可動域と比較しても、遜色ない結果が得られた。これらの結果をまとめてEuropean journal of rehabilitation誌に2014年発表し、2015年に掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常者での対象者は順調に募ることが出来、また計測対象者も順調に増えている。計測方法の妥当性と信頼性の検討に時間を要したため、高齢者ならびにえん下障害をもつ対象者の人数が計画した数より少なかった。平成27年度は、これら対象者を増やし、頚部可動域訓練が頚部可動域やADL、嚥下機能改善に有効であることが分かった場合、頭頚部癌治療中患者等に予防的な介入を行うなど、より大きな介入研究へ発展させることを検討する。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度も、平成26年度同様、三次元動作解析装置VICON MX(VICON Motion Systems社)を用いた頚椎可動域の三次元動作解析を継続する。特に平成27年度は、これまで健常者のデータがある程度集まったことから、嚥下障害患者での頚部可動域の三次元動作解析装置を用いた計測を重点的に行う。嚥下外来にてVEとVF嚥下評価を行なった際、ゼリー食から嚥下食まで摂食可能な軽度の嚥下障害患者15名を対象として次の計測を行う。VFによる喉頭侵入・誤嚥(PAS)、咽頭残留の評価、舌骨の位置および移動距離、舌根から咽頭後壁までの距離を計測、咽頭の収縮率を計算する。さらに、上記の三次元動作解析法を用いた頚部可動域の計測、筋電図による筋活動評価、ならびに質問紙を用いたQOL評価を行う。対象者には、自宅での頚部可動域訓練を指導し、月1回の外来通院による評価を継続する。さらには、嚥下障害患者に対する頚部可動域訓練後の、頚部可動域と嚥下機能変化の検証も行う。自宅での頚部可動域訓練を指導した対象者(頚部可動域制限を生じる疾患患者、嚥下障害患者)の訓練後の評価を行う。嚥下機能の評価をVE・VFを用いて行い、頚部可動域を三次元動作解析装置を用いて評価する。また、ADL・QOL評価を訓練後再度行う。統計手法は、介入前後の違いを見るため、喉頭侵入・誤嚥・咽頭残留の有無にはχ2検定を、筋放電量、舌骨の位置および移動距離、舌根から咽頭後壁までの距離、咽頭の収縮率、頚部可動域、ADL・QOLには対応のあるt検定を、PASにはWilcoxonの順位和検定を用いる。また健常者群と患者郡の群間比較には対応のないt検定を行い、舌骨の移動距離・咽頭収縮率・ADL・QOLと頚部可動域の関係についてはSpearmanの相関係数を用いる。
|
Causes of Carryover |
対象者を増やして計測ならびにその解析を中心に行ったため、学会発表を行わなかった。そのため、成果発表として計上した国内旅費ならびに外国旅費をほとんど使用しなかったことから、旅費については次年度に繰り越しとなった。平成27年度は、データ解析を修了した段階で、学会発表を精力的に行っていく。また、えん下障害をもつ対象者での頚椎可動域を計測する機会が少なかったため、既に耳鼻科にて保有していた鼻咽喉ファイバースコープを借りて用いることで内視鏡検査が十分出来たことから、新規に鼻咽喉ファイバースコープを購入しなかった。本年度は、えん下障害をもつ対象者が増えることから、新規に鼻咽喉ファイバースコープを購入する必要があり、次年度購入する予定として繰り越した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、平成26年度購入予定であった、鼻咽喉ファイバースコープ/PENTAX社 (1x730)ならびに内視鏡ビデオカメラ(1x900)/PENTAX社を購入予定である。また、成果発表として、国内旅費ならびに外国旅費を計上する予定である。
|
Research Products
(1 results)