2013 Fiscal Year Research-status Report
青年期ASD者のコミュニケーションを支援する心理運動療法
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25560253
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
津田 均 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (00302745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的場 巳知子 新潟リハビリテーション大学, その他の研究科, 准教授 (90465477)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心理運動療法 / 自閉症スペクトラム障害 / 学業の停滞 / 社会的孤立 / 微細神経学的障害 / ラバン運動解析 |
Research Abstract |
診断学的に、社会心理的要因により学業が停滞したり、ひきこもり状態になっていると思われる学生数名と、ASD(自閉症スペクトラム障害)の病理が背景にあって、大学内で孤立状態に陥っていると思われる学生数名とを集めてグループ心理運動療法を開始した。 本邦には両者が合併しているとされる重ね着症候群のような概念もあるが、今回のグループでは、ムーヴメントの質と、ムーヴメントに対する言語的振り返りの質から両者がほぼはっきりと分かれた。第一に、自由なムーヴメントを行っているときに、前者は、ラバン運動解析における用語で言うとfreeなム-ヴメントが現れ、後者にはboundなムーヴメントが現れた。後者はASDの人の小脳レベルの、あるいは皮質レベルでのsoft neurological signである可能性があり、ムーヴメントの特性に注目することを診断に生かすことができる可能性が示唆された。第二に、セッションのムーヴメントに対する感想の質が両者で異なっていた。前者のグループでは、「このような自由な感じはあまり普段味わっていなかった」など、セッションの状態をメタフォリカルに実生活に結びつける発言が見られたが、後者のグループでは、「このムーヴメントのどこが難しかった」などといった、ムーヴメントを実際に行い得たかどうかに間する感想しか出てこなかった。 ムーヴメントを行うという点では、各人がセラピストとミラージュを行う、他のメンバーと同時にある動作を息を合わせて行うなどのムーヴメントにほぼすべての参加者が加わることができた。ただし、特にASDの人のムーヴメントには、自発的に自分からしかけるムーヴメント、ASDの人どうしの相互作用が欠如し、イメージ課題を与えたときにそれに応じたムーヴメントを行うことにも困難があった。しかしイメージ課題については、セッションの進行につれて、かなりの改善が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会的ひきこもり群とASD群のムーヴメント上の差異、及び両群のセッションの意味づけの差異は明確になったと思われる。ASD群の人がムーヴメントを行うときの困難はかなり明らかになったが、それを改善する、ないしは改善が困難ならばそれを日常生活で補うようなムーヴメントを作り出すこと、また、言語的感想を求められたときの反応が非常に遅延してしまうことに対する介入方法はより工夫していく必要がある。しかし、ASD圏の人も継続してセッションに参加しにきていることには、何か彼ら自身にセッションに期するものがあると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ASDの参加者のムーヴメントの評価をより詳細に行う。具体的にはステッフと重心動揺系を用い、巧緻性と平衡感覚のどの側面にASDのムーヴメントの問題があるかを評価する。2)イメージ課題に対する反応性を増進する。3)大きな問題である間主観的ム-ヴメントの障害と自発的な言語的、運動的活動の欠如への対策を考える。 最終目標はASDの学生が生きやすくなることであり、このセッションの場所が安心してムーヴメントに取りくめる場所であることを維持し、ASDの人に可能な遊びなども導入したい。また、言語的振り返りとムーヴメントがもう少しスムーズにつながるような介入を考えたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ASDの人の神経学的評価を行う器具を購入する。文献を購入し、海外発表のための翻訳料を使用する。発表のための旅費を次年度より使用する 上の4項目について次年度使用する
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