2013 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の筋特性の評価および運動速度可変型筋力トレーニング法の開発
Project/Area Number |
25560256
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市橋 則明 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50203104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池添 冬芽 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10263146)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高齢者 / 筋硬度 / 筋特性 / 運動機能 |
Research Abstract |
平成25年度の研究目的は、1)若年者と高齢者の筋硬度や筋厚、筋輝度(筋内脂肪)といった筋特性を評価し、加齢による筋特性の変化を明らかにすること、2)加齢による筋特性の変化が高齢者の姿勢アライメントに及ぼす影響について明らかにすることとした。 研究1)対象は健常若年女性16名および健常高齢女性34名とした。超音波診断装置を用いて大腿四頭筋の筋厚および筋輝度を測定した。なお、筋輝度は筋内の脂肪や結合組織などの非収縮組織の割合を反映するとされており、筋輝度の上昇は筋内脂肪などが増加していることを意味する。また、筋硬度計を用いて大腿四頭筋の安静時および最大収縮時の筋硬度を測定した。若年者と高齢者の筋硬度を比較すると、安静時筋硬度では2群間で有意差がみられなかったが、収縮時筋硬度および収縮時の変化率は高齢者で有意に低い値を示した。筋厚は若年者と比較して高齢者では有意に低値を示した。筋輝度は若年者と比較して高齢者では有意に高値を示した。本研究の結果、加齢に伴い筋厚、筋内脂肪、筋硬度といった筋特性の変化が生じることが示唆された。 研究2)対象は健常高齢女性20名とした。Spinal Mouseを用いて安静立位姿勢での胸椎後彎角度、腰椎前彎角度および骨盤前傾角度を測定した。超音波診断装置を使用して、腹直筋、内・外腹斜筋、脊柱起立筋、多裂筋の筋厚および筋輝度を測定した。結果、胸椎後彎角度は腹直筋の筋厚とのみ有意な負の相関が認められた。腰椎前彎角度は多裂筋の筋厚、骨盤前傾角度は脊柱起立筋および多裂筋の筋厚とのみ有意な正の相関が認められた。本研究の結果、高齢者の姿勢アライメントに対する運動療法として、これら体幹筋の筋萎縮を予防することが重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は筋特性(筋硬度、筋厚、筋内脂肪)の加齢変化を明らかにすること、高齢者の筋特性と立位姿勢アライメントとの関連について明らかにすることを目的として研究を実施した。本研究の結果、加齢に伴い筋厚減少や筋内脂肪の増加といった筋特性の変化が生じ、これら筋特性の変化は高齢者の姿勢アライメントに影響を及ぼすことが示唆された。しかしながら、高齢者の筋特性や姿勢・動作を改善するためには、どのような運動トレーニングが有効であるかについては検証が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は高齢者を対象に運動速度を変化させた筋力トレーニングを実施し、高齢者の筋特性や運動機能、姿勢・動作能力へ及ぼす効果について検証する。これによって、各個人の目的に応じて運動速度によって簡便に運動処方が行えるトレーニングプログラムを考案し、高齢者の生活自立や介護予防を目指したトレーニング法の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究においては、加齢による筋特性(筋硬度、筋厚、筋内脂肪)の変化、および高齢者の筋特性と立位姿勢アライメントとの関連について検討した。その結果、高齢者の筋特性と姿勢との関連については明らかとなったが、高齢者の筋特性と運動機能・動作能力との関連については検討が不十分であった。そのため、当初予定していた介入研究のためのプレ実験ができなかった。 プレ実験に必要な機器の購入と人件費が今年度必要であったが、次年度にプレ実験を行うことにしたため次年度使用額が生じた。 次年度は、平成25年度に実施できなかった高齢者の筋特性と運動機能・動作能力との関連についての追加研究と介入研究のためのプレ実験に引き続き、平成26年度の研究を推進する予定である。
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Research Products
(1 results)