2014 Fiscal Year Research-status Report
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25560260
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森山 英樹 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10438111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 靖史 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (60346244)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 骨折 / 脊髄損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、脊髄損傷後に骨折が早く治癒する事実に基づいて、脊髄損傷後の骨折の治癒過程を詳細に検討するとともに、骨形成や骨癒合が促進するメカニズムを解明することである。この目的を達成するために、本年度は、脊髄損傷後の骨折の治癒過程を、形態学的並びに力学的に網羅的に調べた。16週齢の雄性Wistar系ラットに、大腿骨閉鎖性骨折のみを行うか、脊髄損傷を行った後に大腿骨閉鎖性骨折を行った。骨折7・14・28・49日後に骨折部を含む大腿骨を採取した。その大腿骨を対象に、放射光CT解析、サフラニンOファースト緑染色での組織学的分析、抗Ⅰ型コラーゲン抗体・抗Ⅱ型コラーゲン抗体・抗Ⅹ型コラーゲン抗体を用いた免疫組織化学的分析を行った。さらに、骨折後49日の大腿骨を対象に、力学的特性評価を行った。放射光CT解析及び組織学的分析の結果から、脊髄損傷後に骨折を行った大腿骨は、骨折のみと比較して、骨の連続性が早期に回復し、治癒が早いことが示された。また免疫組織化学的分析の結果から、骨折のみの治癒過程は骨折後早期から膜性骨化と内軟骨性骨化による骨化様式をとるのに対して、脊髄損傷後の骨折の治癒過程は骨折後早期には膜性骨化のみで、その後内軟骨性骨化による骨化様式をとることが示され、脊髄損傷の有無で骨化様式が異なることが明らかになった。さらに力学的特性評価の結果から、脊髄損傷後に骨折を行った大腿骨は、骨折のみよりも力学的強度が低く、より脆弱であることが示された。まとめると、脊髄損傷後の骨折では治癒が早いこと、その骨化様式が正常とは異なること、さらに治癒した骨は脆弱であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脊髄損傷を行った後に大腿骨閉鎖性骨折を行った動物モデルの生存率の低さから生じた前年度の遅れが影響した。さらに、脊髄損傷後の骨折治癒が促進している確実な証拠を得るために、治癒過程を網羅的に検討する必要が生じたため、交付申請書に記載した「研究目的」に対する全体としての達成度としては、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、最終年度であり、交付申請書に記載した「研究目的」を達成するために、本研究に参画する人員を現状よりも3人増員する。これまでの研究成果から、骨折治癒が促進する原因の最有力候補として、筋緊張亢進によるメカニカルストレスの影響が挙げられた。そこで、先ずは筋緊張亢進によるメカニカルストレスの影響を調べ、その後に次の候補である血流、神経、交感神経系の影響を調べることで、効率よく交付申請書に記載した「研究目的」を達成する予定である。
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Causes of Carryover |
物品購入にあたり、残額を「0」にすることができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残予算は114円であり、本研究の実施に影響を与えるものではないと考える。この残予算は、本研究に関わる消耗品の購入にあてる予定である。
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[Presentation] 骨折の治癒過程は脊髄損傷により改変される2014
Author(s)
崎谷直義, 岩澤裕之, 野村将人, 渡辺昴介, 渡辺大地, 高野祥子, 森山英樹
Organizer
兵庫県骨・カルシウムを語る会
Place of Presentation
ANAクラウンプラザホテル神戸(兵庫県・神戸市)
Year and Date
2014-11-13 – 2014-11-13