2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25560260
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森山 英樹 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10438111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 靖史 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (60346244)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 骨折 / 脊髄損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、脊髄損傷後に骨折が早く治癒する事実に基づいて、脊髄損傷後の骨折の治癒過程を詳細に検討するとともに、骨形成や骨癒合が促進するメカニズムを解明することである。 この目的を達成するために、本年度は、特に骨折治癒促進に寄与する有力な原因と予想した脊髄損傷後の過剰な交感神経活動と痙縮による筋緊張の増加が、それぞれ脊髄損傷後の骨折治癒過程に及ぼす影響を検討した。前者では、脊髄損傷後に大腿骨閉鎖性骨折を行ったラットの腹腔内に、アドレナリンβ受容体遮断薬(プロプラノロール)を投与した。後者では、脊髄損傷後に大腿骨閉鎖性骨折を行ったラットの骨折部位周囲筋である大腿四頭筋・大腿二頭筋・大内転筋に、末梢性筋弛緩薬(A型ボツリヌス毒素)を投与した。骨折14日後と28日後に大腿骨を採取し、μCT解析と組織学的分析を行った。 プロプラノロール投与では、骨折28日後の骨折部位の架橋は皮質骨様であり、プロプラノロールの有無で、骨折治癒過程は変化しなかった。一方で、A型ボツリヌス毒素投与では、架橋は線維骨様であるとともに、A型ボツリヌス毒素を投与することで、脊髄損傷のみで生じる骨折治癒過程の促進が認められなかった。すなわち、プロプラノロールによる交感神経活動の抑制は、脊髄損傷後の骨折治癒促進に影響を及ぼさないが、A型ボツリヌス毒素による筋緊張の抑制は、骨折治癒促進を阻害することが示された。 これらのことから、脊髄損傷後の骨折治癒促進には、異常な交感神経活動は関与しておらず、痙縮による筋緊張の増加が影響していることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)