2015 Fiscal Year Annual Research Report
運動負荷量の違いが引き起こす萎縮筋の回復促進効果の違いとそのメカニズム
Project/Area Number |
25560274
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Research Institution | Aichi Medical College for Physical and Occupational Therapy |
Principal Investigator |
木村 菜穂子 愛知医療学院短期大学, その他部局等, 助教 (00544751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 佑太 名古屋学院大学, 公私立大学の部局等, 講師 (30454383)
河上 敬介 大分大学, その他部局等, 教授 (60195047)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 理学療法 / 細胞増殖・細胞死 / 筋肉生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、筋力トレーニングが廃用性筋萎縮からの回復を促進するメカニズム解明のため、定量的な運動刺激を萎縮筋に与えることが可能な装置を開発し、運動負荷量と回復促進効果との関係を精査することを目的とした。 平成25年度には,電気刺激によって筋を収縮させ,発生する関節トルクを一定にコントロールしながら等尺性筋力トレーニングを行うことのできるシステムを開発した. 平成26年度には,筋萎縮を起こしたマウス後肢筋に対して、このシステムを用いて異なる運動強度の筋力トレーニングを行い、筋萎縮からの回復促進効果を比較した。その結果,最大筋力の40%以上の強度の等尺性収縮運動に、最大発揮トルクや筋線維の太さの回復促進効果がみられた。またこのとき筋線維核の増加もみられた。 平成27年度には,平成26年度に用いた一定強度以上の運動と筋損傷の関係、もしくは筋線維核の増加と筋衛星細胞の活性化との関係を組織学的に検証した.その結果、最大筋力の60%を超える強度で運動を行うと、筋線維の損傷像が観察され、最大筋力の40%の強度の運動でみられた筋萎縮からの回復促進効果が弱まることが明らかになった。このとき、筋衛星細胞の活性化が、40、60、90%のどの強度の運動でも観察された。一定強度以上の運動では筋衛星細胞の活性化を促すことができる。しかし、筋損傷を起こすほど高強度の運動では、損傷の修復のために活性化した筋衛星細胞が動員されると考える。このため、一定期間では筋萎縮からの回復促進のために活性化された筋衛星細胞が多く活用されず、効果が大きく現れなかったと考える。 本研究によって、異なる運動強度の等尺性収縮運動が負荷できるモデルが確立した。このシステムは筋萎縮からの回復促進に限らず、あらゆる病態モデルへの理学療法効果の検証を可能にすると考える。
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