2013 Fiscal Year Research-status Report
脳の運動指令生成機能の定量計測による脳卒中リハビリテーションの多次元的評価
Project/Area Number |
25560276
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
筧 慎治 公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, プロジェクトリーダー (40224365)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳卒中 / リハビリテーション / 予測制御 / フィードバック制御 / 運動指令 / 共同運動 |
Research Abstract |
本研究では、①-③のアイディアを中心に研究を進めている。①.並列運動制御器の分離とその定量的評価:運動制御の基本である予測制御器とフィードバック制御器の出力を固有の方法で分離し、各制御器の精度を定量的に評価する。②.上肢分離運動能力の定量化:脳卒中患者に特有の、筋活動の絞り込みの障害(=共同運動)を上肢の6筋の筋電図記録により定量的に評価する。③.①及び②で抽出された運動機能に関する定量的パラメータのチャート化による病態履歴の見える化。以下に各項目の成果の概要を記す。 ①. 25年度の研究の過程で、予測制御器とフィードバック制御器の分離評価は筋電図記録を省き、手関節の動きのみを利用した改良形になった。その結果、検査の所用時間は1時間から数分に激減し、同じ患者から反復記録することも容易となった。さらに筋電図の省略に伴い、解析対象は手関節に限定されなくなった。分析に必要なのは2自由度の動き情報のみであり、身体のどこに由来しても構わない。その結果、研究申請の時点では必須であった手関節マニピュランダム以外の、多様な方法で多様な身体部位の運動を並列制御器の観点で分析出来るようになった。例えば腕全体や下肢の運動も分析可能になった。これは高価な計測機器を使わずに、例えば最近普及が進んでいる安価なタブレットによる評価の可能性に道を開いた。 ②. ①の結果、当面は筋電図を省略し、同じ患者さんからの頻回記録を優先して研究を進めている。このため、筋電図記録に時間を要し患者さんへの負担も大きいこの項目についての研究は現在保留中である。 ③. ①で得られる予測制御器とフィードバック制御器の精度の2つのパラメータに加え、脊髄の反射系の状態を反映すると考えられる微細運動のパラメータを加えた3つのパラメータを用いて、15名の脳卒中患者で病態追跡を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に研究業績の概要に述べたように、項目①については方法論的に大きく進歩し、データを取得・分析する効率が劇的に改善した。一方、そのために筋電図の記録を省略する必用があり、筋電図の分析を必須とする項目②については保留状体となった。しかしそれに代わる、脊髄の反射系の状態を反映すると考えられる微細運動のパラメータを新たに発見し、このパラメータが脳卒中の病態追跡に有効であることを確認出来たため、当初の予定通り3つのパラメータを使った項目③の研究を進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に開発した脳卒中の病態追跡システムを多数の医療機関に普及させ大規模にデータ取得を行えるシステムに改良する。そのためにはシステムの更なる簡略化・低コスト化が必須である。手関節からの解放によりそれが可能になった。そこで現在、iPadを利用した評価システムを開発中である。 一方、25年度から進めている脳卒中患者の病態追跡の研究は、前例の無い研究であり、従来のシステムを使用して研究の一貫性を保つ。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
翌年度の予算と合わせて予定より高額の備品の購入を検討したため。 26年度の予算と合わせてデータ解析用のPC(30万円以上)を購入する予定。
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Research Products
(15 results)