2013 Fiscal Year Research-status Report
簡易脳波計を利用したスキャン型文章入力インタフェース
Project/Area Number |
25560279
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
森 大毅 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10302184)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 脳機能インタフェース / 脳波 / 言語モデル / 独立成分分析 |
Research Abstract |
本研究は、安価で装着が容易な簡易脳波計を利用したスキャン型文章入力装置の実現を目的としている。 平成25年度は、スキャン文字盤使用時のEEG(脳波)データの収集、およびEEGによる脳機能インタフェース実現に向けた予備的な分析を実施した。脳波センサとしては、Thket社製B3 BandおよびEmotiv社製EPOCを用いた。被験者は、カーソルが目的文字に到達するまでは文字盤を注視し、目的文字に停留している間は閉眼する。文字盤の付近には入力すべき文が表示されており、被験者は1回の走査で1文字ずつ上記タスクを実行し脳活動の制御を行う。B3 Bandについては2名の被験者に各25回の、EPOCについては1名の被験者に9回の、5名の被験者に1回の試行を実施しデータを取得した。 EEG信号処理の信号処理に関する平成25年度の検討事項は以下の通りである。(1)スペクトル分析の条件出し。スキャン間隔を5sとして取得した1チャンネルEEG波形に対する分析窓長(5s, 2s, 1s, 0.5s)および分析周期(100%, 50%, 25%)の各組み合わせに対し、文字盤の各列におけるα波の振幅ピークを要素とした11次元ベクトルを特徴量としたときの文字正解精度を求め、分析窓長2s, 分析周期1sが最良の条件であることを見出した。(2)複数の周波数バンドの利用。開閉眼に頼らない脳波インタフェースの実現のためには、これまで検討してきたα波のみの利用では性能が十分に上がらない。そこで、予備的な検討として、α波に加えβ波およびγ波のスペクトル特徴も加え、開閉眼の動作を必要としない文字入力の可能性を検討した。(3)EPOCから得られる14チャンネルのEEG信号に対し独立成分分析(ICA)による前処理を実行し、有効性を検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画では、(1)スキャン文字盤使用時のEEGデータ収集、および(2)EEGスペクトルの分析を挙げた。このうち(1)については、当初計画の被験者数10名には届かなかったが、のべ8名の被験者に対するデータ収集により、個人によるEEG信号の特性の差が大きいことを示すのに十分な証拠が得られた。また、(2)については振幅スペクトルのピーク以外の特徴抽出についても検討した。全体としては、当初計画の通り順調に進展したと評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究開始当初から予想していたことだが、開閉眼の動作を必要としない文字入力を実現するためには、α波などの自発脳波だけでは不十分であることが明らかになってきた。26年度以降は、運動関連電位の利用も含め、より自然で精度の高い文字入力インタフェースを実現するための基礎的検討を研究計画に組み入れて行く。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1) ストレージシステムの機種選定が遅れているため。 (2) 研究動向調査のための海外出張を見送ったため。 (1) 効率的なデータ蓄積・分析を可能とするようなストレージシステムおよび分析システムの機種選定を進める。 (2)対外的な研究成果報告を行う。
|