2013 Fiscal Year Research-status Report
褥瘡予防エアセルマットレスのための体圧分布に基づくオンライン姿勢推定
Project/Area Number |
25560280
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 博史 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50431797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 奈緒 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80636788)
吉田 美香子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40382957)
真田 弘美 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50143920)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 姿勢推定 / 褥瘡予防 / エアマットレス / 体圧分布センサ |
Research Abstract |
寝たきりの方や術後患者などの褥瘡発生予防のために,エアセルマットレスが利用されている.エアセルマットレスでは,マットレス内の並んだ各エアセルが柔軟であることでマットレスに身体が沈み込み,その接触面積が増加し体圧を分散させる機能を持っている.それにより過度な圧が軽減され,褥瘡発生を予防しているが,未だ,褥瘡発生を完全に防げているわけではない.その原因の一つとして,現状のエアセル内圧は各エアセルで基本的に同一であり,体重等に合わせて調節はされているが個々の身体形状や寝姿勢が考慮されていないため,適切に身体が沈み込んでいないことが考えられる.その解決策として,マットレス上部に体圧分布センサを導入し,その圧力分布データを利用して,各エアセル内圧を制御するアイデアが考えられる.しかしながら,高い体圧部分のエアセル内圧を減少させるだけでは,内圧減少時に寝姿勢自体も悪い方向に変化し,かえって局所に過度な圧がかかる可能がある.その解決には,体圧とエアセル内圧の関係をだけでなく,体圧分布とエアセル内圧から,身体の沈み込み量とその時における身体姿勢を推定できる必要がある.本年度については,その基本的なエアセルマットレスの性質についてのデータ計測のための準備を整えた.具体的には,エアセルマットレスの内圧制御のためのシステムの構築,またエアセルマットレス上の体圧分布センサによる全身体圧計測,エアセルマットレスに対して規定の沈み込み量を模すことが可能な装置の作成,それらの装置のデータ収集の枠組みの作成である.また,次年度に先行して,健常者におけるエアセルマットレス上での体圧分布計測についての実証並びに,3次元姿勢推定のための準備を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,エアセルマットレスにおける体圧分布・エアセル内圧の計測システムを作成すると共に,エアセル内圧の制御システム並びに,規定の沈み込み量を模すための装置を作成した.当初は,体圧分布の計測については,共同研究者の保持する体圧分布センサを利用する予定であったが,研究中の体圧分布センサ内蔵型のエアセルマットレスを借用が可能となったため,そのマットレスを利用した.研究に必要なデータ取得並びに制御のため,体圧分布データ取得のための新たなシステムを構築した.加えて,エアセル内圧自体についても計測並びに制御が必要であったことから,エアセル部は流用しつつも,新しく計測・制御のためのシステムを構築した.以上とは別に,身体沈み込み量とエアセル内圧,体圧の関係を調べるために,マットレスに規定の量を押しこみ,その時の力を計測可能なインデンターからなる装置を開発した.これらの装置を利用し,沈み込み量との関係の計測を終えている予定であったが,インデンターの設計・部品調達の遅れやエアセルマットレスの借用の問題等から遅れたため,現在計測を進めている途中である.その代わり,先行して次年度予定であった,健常者での体圧分布データ計測が可能なように調整を進めると共に,剛体の3次元リンクと表面形状から構成される3次元姿勢モデル作成等について平行して進めた.以上のことから,本年度に進める予定であった沈み込み量の計測や,最終的な人姿勢の計測のためのシステム構築,並びに,姿勢推定アルゴリズム構築についての研究は,概ね順調に推移しているものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度については,開発した沈み込み量の計測装置を利用して,身体沈み込み量とエアセル内圧,体圧分布について計測を続け,そのデータを元に,エアセルに対しての身体の沈み込み量の推定手法を構築する.具体的には,体圧分布のセンサの空間分解能の領域ごとに独立に沈み込み量がマットレス内圧と体圧値から計算されると仮定し,その関係式をデータから推定する.非線形性があまりにも強い場合には,対応関係を直接テーブル等でマッピングすることで利用する.その情報を元に,与えられた体圧並びに,エアセル内圧値から,エアセルマットレス表面上の凹凸を推定する.そのデータと,平成25年度に作成した各リンクで結ばれた剛体の骨格モデルに3次元ポリゴンを対応付けたものを利用し,姿勢推定を行う.方法論としては,マットレス表面の凹凸と人体姿勢モデルとの3次元的な接触を最適化することで,姿勢を推定する.また,時間的な制約(前のフレームの姿勢に現在姿勢が依存すること)を利用した統計的なフィルタリングのテクニックの導入や,身体の関節可動域の物理的拘束条件などを利用し,計算の高速化についても狙う. 検証実験として,これまで構築してきたエアマットレスにおける計測システムにおいて,モーションキャプチャシステムを導入し,そのデータを正解姿勢情報として,姿勢推定の結果を評価するシステムを整える.その際,単純な仰臥位でなく,臨床経験のある看護師ともに,褥瘡予防で行われる体位変換時の姿勢等の看護行動を取った際にもデータを取得することで,より臨床に近い状況で姿勢推定の精度についての評価実験を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度,ベッド上の姿勢計測の部分まで進める予定であったが,エアマットレス並びに沈み込み量の計測のためのシステム構築が遅れたため,その後に構築予定であったベッド上の人体姿勢計測のための計測システムの購入が当該年度から次年度にずれ込んだためである. 当初の予定通り,マットレス上での姿勢計測用のデバイス購入に利用する予定である.
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