2013 Fiscal Year Research-status Report
変形性膝関節症に伴う足裏感覚の内外アンバランスが転倒に及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
25560282
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中村 幸男 信州大学, 医学部附属病院, 助教 (00549488)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 変形性膝関節症 / 足裏感覚 |
Research Abstract |
要介護高齢者と転倒にかかわる主要因の一つとして、ロコモティブシンドロームがあげられる。本事業では、代表的疾患である変形性膝関節症(膝OA)の足裏感覚に着目し、足底感覚評価装置を用いて、より実際の立位や歩行に近い足底感覚と足底接地状態、足圧分布の関連性を調べ,ヒトの立位バランス能力の足底感覚を含めた機序解明および高齢者などの転倒防止策構築であることを主目的とした。 まず、画像診断に基づく足部構造の特徴を理解、把握することを目的とした。対象者は、膝OAを有する13名(男性3名、女性10名、平均年齢71.4±9.5歳)であり、単純X線を用いた荷重肢位での撮影(両下肢全長と距骨下関節アライメント)を施行した。次に体表からレーザー光を照射し距骨下関節の内外反の荷重時におけるアライメントを測定した。結果、X線画像およびレーザー光を用いた踵骨内外反角の間には正の強い相関が認められた(P<0.01)。以上より、レーザ光をもちいた計測はX線撮影と比較し短時間かつ簡易的な方法であると思われた。 次に、神経学的既往症のない58人(男性名49名、女性9名、年齢18-55歳)を対象とし、母趾球面の感覚閾値の測定を行った。Shapiro-Wilk検定、2標本t検定を用いた。結果、距骨下関節内反群は外反群と比べ、動的刺激に対する足底感覚閾値は有意に高い値(p<0.01)を示した。また片側足圧分布で母趾球に多くの圧がかかる内側変位群では足部外側に多くの圧がかかる外側変位群と比べ、動的刺激に対する足底感覚閾値は有意に高い値(p<0.05)を示した。一方、静止立位での足圧が前方重心群と後方重心群の動的刺激による足底感覚閾値には、有意差は認められなかった。静止立位で足趾の圧力がほぼ完全に存在する(足趾接床)群とほぼ全足趾の圧力が消失している(浮き趾)群の足底感覚閾値の間にも有意差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、おおむね研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに膝OAを有する13名に対し、距骨下関節の荷重時におけるアライメント測定を遂行した。今後、1) 膝OA患者の症例数を増加し、得られた知見の再現性の確認、2) 膝OA患者と同世代の健常人に対しての同様の検査施行、が必要である。さらに、膝OA患者および健常者における足裏感覚の測定を行い、本来の主目的である膝OA患者が転倒しやすいメカニズムの検証を行う。 装具療法を含めた標準的リハビリテーションを実施し、足裏感覚障害の回復度を再評価することにより、足裏感覚障害改善による転倒抑止効果の影響も検討する。
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