2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25560294
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
関 和彦 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 モデル動物開発研究部, 部長 (00226630)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 霊長類 / 脊髄 / 電気刺激 / 脊髄損傷 / 運動 / 上肢 |
Research Abstract |
交付申請当初は痛覚治療用脊髄刺激システムを用いる予定であったが、現在申請者が保有している動物に対してはサイズが大きすぎることが判明したため、通常神経活動多極記録において用いられているFloating Microelectrode Array(FMA電極)の使用に切り替えて実験を遂行した。当該電極は臨床応用は難しいが、痛覚治療用電極を用いる際に必要な刺激技術の確立には充分代用可能であるとの判断が理由である。その結果、慢性留置方法が確立できたことは大きな成果である。FMA 電極は痛覚治療電極に比べてより侵襲を伴うため神経組織への負担も大きいが、その条件で1年近く刺激効果が維持できた点は将来的に痛覚治療用電極に切り替えた際にはより長い期間刺激効果が維持できる可能性を示唆しており有意義であった。次に、個々の電極の刺激効果を正当に評価するための刺激プロトコルを確立できた点は有意義であった。例えば、動物の状態(麻酔深度)は刺激対象となる神経細胞群の興奮性と相関するため、臨床応用の場面では患者の覚醒度合いとも関連する。したがって、緩徐な時定数で変化する動物の状態の影響を排除した測定条件で刺激効果の評価を行う必要があり、それを確立できた点が有意義である。次に、組織解析の結果、電極留置相当部位の組織変形が確認された。この変形が電極そのものによるものか、感染による二次的な現象かは現在解析中である。将来的に利用予定の痛覚治療用電極は侵襲が少ないためこのような可能性は少ないが、脊髄長期インプラント電極の組織への影響についてのデータは少ないので、貴重である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請当初は痛覚治療用脊髄刺激システムを用いる予定であったが、現在申請者が保有している動物に対してはサイズが大きすぎることが判明したため、通常神経活動多極記録において用いられているFloating Microelectrode Array(FMA電極)の使用に切り替えて実験を遂行した。当該電極は臨床応用は難しいが、痛覚治療用電極を用いる際に必要な刺激技術の確立には充分代用可能であるとの判断が理由である。その結果、慢性留置方法が確立できたことは大きな成果である。FMA 電極は痛覚治療電極に比べてより侵襲を伴うため神経組織への負担も大きいが、その条件で1年近く刺激効果が維持できた点は将来的に痛覚治療用電極に切り替えた際にはより長い期間刺激効果が維持できる可能性を示唆しており有意義であった。次に、個々の電極の刺激効果を正当に評価するための刺激プロトコルを確立できた点は有意義であった。例えば、動物の状態(麻酔深度)は刺激対象となる神経細胞群の興奮性と相関するため、臨床応用の場面では患者の覚醒度合いとも関連する。したがって、緩徐な時定数で変化する動物の状態の影響を排除した測定条件で刺激効果の評価を行う必要があり、それを確立できた点が有意義である。次に、組織解析の結果、電極留置相当部位の組織変形が確認された。この変形が電極そのものによるものか、感染による二次的な現象かは現在解析中である。将来的に利用予定の痛覚治療用電極は侵襲が少ないためこのような可能性は少ないが、脊髄長期インプラント電極の組織への影響についてのデータは少ないので、貴重である。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のような理由によって、本研究ではより侵襲の多いFMAタイプの電極を使用することにした。この方針変更はあるが、残りの研究期間で予定されていた実験を行ってゆきたい。第一に、多極同時刺激による刺激効果の加重様式を確認する。臨床では単なる筋肉の収縮ではなく、日常生活に有意義な大きな力と動きを刺激によって制御する必要がある。そのためには、多極への同時刺激は必須であるが、現在まで至適な刺激パラメタは確立していない。そこで、次年度はこの多極刺激を行い、どのような動きが誘発されるか、解析したい。次に、刺激時の上肢姿勢が刺激効果をどのように修飾するのか定量化する。臨床場面では、患者の安静字姿勢を制御することは不可能である。例えば手が体幹の右にある場合と左にある場合で刺激効果が異なるなら、その点も考慮した刺激パラメタの確立が必要である。そこで、刺激開始時の手の位置が誘発運動に与える影響を系統的に探索する予定である。第三に、脊髄損傷モデルにおいて上記の実験を再現する。脊髄刺激は脊髄反射経路だけでなく、大脳皮質を含めた上位中枢経由の運動出力系も活性化させる。脊髄損傷患者の場合、後者は切断されているので前者を最大限に利用した刺激技術の確立が必要である。そのために 脊髄損傷モデルサルにおいて、上記の多極刺激や姿勢依存性などを確認する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用予定であった痛覚治療用電極が電極サイズと動物サイズの不適合のため使用できなくなり、現有のFMA電極を使うことに変更したため。また購入予定であった動物が入手できず、現有の実験動物を用いたため 痛覚治療用電極の代替電極や電極作成材料、またそれらの実験利用に必要な消耗品の購入を行う。また実験動物の購入を行う。
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Research Products
(17 results)