2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25560295
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳原 大 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (90252725)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 作業記憶 / 身体性 / 3xTg マウス / アルツハイマー病 / 障害物回避歩行 |
Outline of Annual Research Achievements |
作業記憶は、認知行動を適切に遂行するために短期に保持される能動的な記憶と考えられ、現在まで霊長類やげっ歯類等において多くの研究が行われてきた。ところで、運動時に必要とされる身体性の作業記憶については、研究対象としてほとんど取り上げられることなく、その生成と保持に関わる神経機構については未だ不明である。本研究では、マウスを用いて、歩行路の前方に設置された障害物を跨ぎ越して回避する障害物回避歩行課題、さらに、前肢が障害物を跨ぎ越した後、一時的に歩行を中断させてから後肢の跨ぎ越し動作を課す遅延障害物回避課題を構築し、身体性作業記憶に関わる神経機構を調べることを目的とした。他の作業記憶課題への関与が既に報告されている海馬や腹側被蓋野について焦点を当て、海馬及び大脳皮質におけるβアミロイドの蓄積を加齢とともに示す3xTgマウスと、腹側被蓋野のドーパミンニューロンを薬理学的に破壊したマウスを用いて、それらの障害物回避歩行時の四肢の動作を解析した。 3xTgマウスは約5カ月齢からヒトのアルツハイマー病患者と類似した病理的所見を示すので、野生型マウス、2~5カ月齢(若齢)及び10~13カ月齢(高齢) の3xTgマウスの3群を設定した。障害物回避歩行時に障害物と最初に接触した肢の接触率を算出した結果、高齢3xTgマウスは他のマウスと比較して後肢の接触率が高かった。遅延障害物回避課題においては、野生型マウス及び若齢3xTgマウスにおいては、10秒以内の制止期間後、障害物より後肢を高く拳上することが観察された。しかしながら、高齢3xTgマウスは後肢の高さが設置されていた障害物より低下する傾向を示した。以上の結果から、高齢3xTgマウスは遅延障害物回避課題において作業記憶が障害されていることが示唆された。 腹側被蓋野のドーパミンニューロンが破壊されたマウスにおけるデータについては現在解析中である。
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Research Products
(1 results)