2013 Fiscal Year Research-status Report
皮膚血流の影響を分離したNIRS信号による脳酸素化動態同定法の構築
Project/Area Number |
25560299
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
小河 繁彦 東洋大学, 理工学部, 教授 (80553841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 耕平 日本女子体育大学, 体育学部, 准教授 (00409278)
田中 尚樹 東洋大学, 理工学部, 教授 (10416943)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 筋赤外線分光法 / 酸素化ヘモグロビン / 皮膚血流量 / 脱酸素化ヘモグロビン / 浅側頭動脈 / レーザードップラー / 脳酸素動態 / 脳神経活動 |
Research Abstract |
近赤外分光法(NIRS)は、大脳皮質での血液量、酸素化動態の非侵襲計測法として確立されており、脳の神経活動を簡易に知る有用な方法である。しかしながら、一方でNIRS信号は皮膚血流の情報を含むためその影響を強く受けることが示唆されている。特に運動や暑熱環境下では、皮膚血流量が顕著に増加するため、NIRS信号は脳酸素化動態を正確に反映していない可能性が示唆されている。平成25年度では、NIRS信号に含まれる皮膚血流の影響を分離・除去する方法を確立・構築するための基礎研究として、様々な生理環境下でのNIRS信号における皮膚血流量の寄与率を同定することを目的として実験及び関連研究を行った。平成25年度の研究においては、既存のNIRS信号測定装置を用いて、様々な生理環境下における皮膚血流のNIRS信号への影響を算出した。本研究結果から、NIRS信号により正確な脳酸素動態を示さない生理環境が明らかとなり、現在報告されているデータ・知見の再検証が必要となる可能性を示唆するものであった。 これまでの予備実験の段階で浅側頭動脈を80mmHgで定量的に止血することにより前額部皮膚血流量が急激な低下をすることを確認している。この方法を用いて、他の生理反応を伴わない人為的な皮膚血流量の変化が、NIRS信号に及ぼす影響を解析した。測定は、前額部に固定したNIRSプローブとレーザードップラー装置により脳酸素化動態(酸素化ヘモグロビン)及び皮膚血流量を算出、また中大脳動血流速度を経頭蓋ドップラー計により測定した。皮膚血流量変化の影響は、浅側頭動脈を止血して低下したNIRS信号(酸素化ヘモグロビン)の低下率から解析して求めた。その結果、脳酸素化動態(酸素化ヘモグロビン,脱酸素化ヘモグロビン,総ヘモグロビン濃度)は、浅側頭動脈への圧を増加させるほど変化し、皮膚血流量の変化量に依存することが示された。さらに運動中や認知活動時も同様の結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に関する研究①(様々な生理条件下での、NIRS信号に対する皮膚血流の寄与率の解明)の実験が終了し、現時点で幾つかの論文に掲載されている。関連論文は、本年度(平成25年度)で、生理学系・医学系英雑誌に2編、平成26年度は既に5編にまとめて発表している。近赤外線分光法による脳酸素化動態の皮膚血流量変化の影響が明らかとなり、本年度の生理学的基礎データを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に行った関連実験をすべて英文誌に論文掲載することを目指す。また、前年度に得られた実験結果を基に申請計画書の実験②(ヒト測定におけるNIRS信号に対する皮膚血流の影響の分離、除去。正確な脳酸素化動態評価のための新たな方法論の確立)について研究計画に従って引き続き行っていく。本年度は、運動及び皮膚血流の止血による皮膚血流量の変化及び複数のNIRS信号を用いて、研究連携者である舟根ら(2011)が報告した独立成分分析法を出発点として、本年度の研究結果から新たな解析法を構築する。この新たに開発・構築した方法を用いて、皮膚血流の影響を除去・分離したNIRS信号を算出する。本研究におけるヒトの測定において、各条件下で変化させた皮膚血流量と酸素化ヘモグロビンの変化から最も影響を受けない分離法を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、脳血流測定のための超音波脳血流測定装置を購入した。また実験計画遂行のための予算を計上した。次年度は、研究費も減額されるため、前年度に使わないで済んだ予算は繰り越し行い、次年度の研究費として使用する。 次年度は、特に高額な物品購入は行わない。繰り越し金を含め実験を行うための消耗品、人件費及び謝金、また研究結果を学会などの発表に充てる。繰り越し金は、いずれかに充当する。
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[Presentation] Cutaneous blood flow influences near infrared spectroscopy evaluation of frontal lobe oxygenation by approximately 30%.
Author(s)
Henrik Sorensen, Matthias Kohl-Bareis, Christoph Siebenmann, Morten Zaar, Morten Hvidtfeldt, Shigehiko Ogoh, Kohei Sato, Niels H. Secher, Carsten Lundby, Peter Rasmussen.
Organizer
Experimental Biology
Place of Presentation
Boston, USA