2013 Fiscal Year Research-status Report
プロスポーツチームの生み出す非利用価値と集積効果に関する理論・実証研究
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25560323
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
福山 博文 鹿児島大学, 法文学部, 准教授 (40409537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 光 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10313967)
内藤 徹 徳島大学, その他の研究科, 教授 (90309732)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スポーツ経済学 / 契約 / ピーク・エンド効果 / 利用可能性ヒューリスティックス |
Research Abstract |
本年度に実施した研究成果は以下の2点である。まず,第1に2006年から2012年の日本プロ野球(NPB)のデータを用いて,チームの勝利に最も貢献するオフェンス面のパフォーマンス指標はOBP(On-Base Percentage)であり,最も高額な年俸が支払われる,すなわちNPBの労働市場で最も評価されるのもOBPの高い選手であることを示した。また,1年トータルのパフォーマンス(長期的パフォーマンス)と1年で最も顕著な成績を残した月のパフォーマンス(短期的パフォーマンス)において,どちらが年俸に強い影響を及ぼすのかを検証した結果,年俸の安い選手を評価する際には長期的パフォーマンスよりも短期的パフォーマンスの影響を強く受けやすいことを示した。この研究成果は,検査などの身体的苦痛の程度が受診者の記憶にどの程度残っているかを調べ,苦痛のピーク時と検査のエンド時の記憶が全体の印象を決めるというピーク・エンド効果(Redelmeier and Kahneman (1993),Pain)がスポーツ選手の評価においても成立する可能性があることを意味している。 第2に2001年から2013年にNPBに移籍した外国人選手のアメリカでのパフォーマンス・データとNPBでのパフォーマンス・データ,NPBでの契約年俸データを用いて,NPB移籍1年目でのOBPに最も影響を及ぼすアメリカでのパフォーマンスは3A通算の平均OBPであるが,外国人選手のNPBでの契約年俸に最も影響を及ぼすアメリカでのパフォーマンスはメジャーリーグ通算HR数と移籍前年にメジャーリーグに所属していたという事実であることを示した。この研究成果は,外国人選手と契約する際,メジャーリーグでのHR数など記憶に残りやすい情報の影響を受けやすく,利用可能性ヒューリスティックスがスポーツ選手の評価においても観察されることを意味している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的はこれまでの研究の延長線上にあるため,研究のテーマの設定,データの収集,研究分担者との打ち合わせ,論文の作成,そして国際会議での成果の発表という一連の研究の流れにおいて,当初の計画通りスムーズに実施することができた。特に研究分担者とはこれまでに多くの共同研究を実施してきた実績があり,研究の目的を達成するために有益な情報交換を頻繁に行い,効率的に研究を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策として,平成26年度の研究の目的はプロスポーツチームの生み出す地元チームへの愛着や誇りといった非利用価値がどの程度あるのかを計測することであるので,まずはアンケート票を作成し,多くのサンプル収集が確実に見込めるインターネット調査を実施する予定である。アンケート票の作成においては,研究分担者と綿密な打ち合わせを行う必要がある。また,研究の成果をアメリカのスポーツ経済学会の国際会議で報告する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度における研究計画は予定通り進められたが,結果として差引額637円が生じた。金額が小さく当該年度の研究に必要な物品等はすでに購入済みであり,当該年度に予定していた研究はすでに完了していたため,翌年度分として請求することとした。 次年度使用額637円については金額が小さいため,次年度分の助成金と合わせて,研究課題に関する資料を整理するためのファイル等の購入に充てる予定である。
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