2015 Fiscal Year Annual Research Report
プロスポーツチームの生み出す非利用価値と集積効果に関する理論・実証研究
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25560323
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
福山 博文 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (40409537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 光 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10313967)
内藤 徹 徳島大学, その他の研究科, 教授 (90309732)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | CVM / 時間非整合性 / 割引率 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の最終年度は,これまで実施してきた仮想評価法(CVM:Contingent Valuation Method)を用いた地域におけるプロスポーツチームへの支払意思額の計測に関する研究にアンケート回答者の支払期限の先延ばし効果を考慮することでより精度の高い推定方法の提案を試みた。具体的には,CVMアンケートにおける支払意思額の推定において,支払期限を「近日中」,「1年後」,「5年後」の3パターンに設定した場合に支払意思額に違いが生じるかどうか検証した。さらに,支払期限を「近日中」から「1年後」および「5年後」に先延ばしたときの割引率をそれぞれ計測し,これまでの割引率の推定に関する先行研究同様,割引率が時間の経過とともに減少するのかを検討した。 また,本年度は地域へのプロスポーツチームの密着度の強さを一つの地域に存在するプロスポーツチームの数が少ないほど地域密着度が強いと定義して,プロスポーツチームが地域に密着することによって地域住民の支払意思額が高くなるかどうかを明らかにした。 分析の結果は以下の通りである。まず,支払期限が遠くなるほど支払意思額が小さくなることが示され,支払期限を「1年後」に先延ばししたときの割引率は0.1398,「5年後」に先延ばししたときの割引率は0.0056になり,これまでの先行研究の結果と同様に割引率が時間の経過とともに減少することが明らかになった。また,先行研究との比較を通して,地域密着度の強いプロスポーツチームの支払意思額の方がそうでないプロスポーツチームよりも明らかに大きくなることが示された。この結果は,一つの地域に一つのプロスポーツチームしかないような地域密着型のプロスポーツチームの場合は地域住民にとってそのチームは地域のシンボル的な存在であり,地域をあげて応援するためその非金銭的な価値はかなり高いものになることを意味している。
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