2013 Fiscal Year Research-status Report
筋細胞内酸素環境に対するミトコンドリア挙動の可視化
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25560335
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
狩野 豊 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (90293133)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 骨格筋 / 酸素 / バイオイメージング |
Research Abstract |
骨格筋は身体活動量の変化に応じて,エネルギー供給量を調節する.ミトコンドリアは酸素を利用したエネルギー産生の役割を担っている.酸素は,毛細血管から拡散によって細胞膜を通り,筋細胞質内へ入り込む.その受け手となるミトコンドリアには,融合や分裂という増殖機能が備わっている.しかしながら,細胞内の酸素環境に応じた振る舞い(細胞内の移動,センサー機構の有無)は明らかにされていない. そこで本研究は,細胞内で酸素を直接的に利用する「ミトコンドリア」に焦点を当てた.細胞内の酸素レベルによって,ミトコンドリアがどのような挙動を示すのかについて,生体内(in vivo)で直接観察するイメージングモデルの構築を試みた.そして,低酸素時には酸素が供給されやすい毛細血管の近傍に移動するなど,ミトコンドリアが酸素センサー機能を有しているかどうかについて明らかにする. そのために,1.ミトコンドリアへのマーキング(刺激前後での位置の特定)が可能であるKaede蛍光タンパクをミトコンドリアに局在させること.2.紫外光でミトコンドリアをマーキングした後,低酸素環境下において,ミトコンドリアの挙動をin vivo条件で撮影することについて,実験を進めている.現在まで,Kaede蛍光タンパクを入手し,それを細胞内に導入する方法について検討を重ねているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,運動中に細胞膜近傍のミトコンドリアが筋原線維間へ移動し,ATPの需要供給バランスを効率的に行っているという仮説を立てた.しかしながら,通常の蛍光指示薬では,筋細胞内のミトコンドリアが一様に蛍光してしまうため,個々のミトコンドリアの挙動が確認できない.蛍光タンパク質“Kaede”は,紫外線を照射した箇所のみを緑色から赤色に光変換させる蛍光タンパク質である. 今年度は,この蛍光タンパク質“Kaede”をin vivo環境下において骨格筋細胞のミトコンドリアに導入することを目指していた.これまで,チトクロームCサブユニットVIIIのミトコンドリアターゲティングシグナル配列を用いて,KaedeのN末端側に配置したプラスミドベクターを作成することに成功している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,報告者らが考案したin vivoバイオイメージングモデル(Sonobe et al. Am J Physiol, 2008,2010)を用いて,Kaede 由来の蛍光画像が取得できるかどうかを確認する.ミトコンドリアは筋線維組成によって密度が異なるため,速筋線維と遅筋線維において分布の違いを検討する(実験2).その後,動静脈を閉塞することによる虚血モデル,ならびに電気刺激による筋収縮モデルによって,筋細胞を低酸素環境下に置く.酸素レベルは,酸素分圧を実測できる酸素クエンチング法を用いる (Kano et al. Am J Physiol, 2011, Koga and Kano et al. J Appl Physiol, 2012).低酸素レベルとミトコンドリア挙動との関連性を明らかにする. 現在まで,蛍光タンパク質Kaedeの導入方法を検討している(ターゲットベクターの選択,蛍光がミトコンドリア局在発現かどうかを証明するために,ミトコンドリア膜電位感受性蛍光指示薬との比較). 今後の手順として,ミトコンドリアのマーキング方法(紫外光の強度,時間,範囲などの最適化条件の設定),観察モデルの確立(ミトコンドリア挙動の撮影条件,高速蛍光フィルタ切り替え装置の導入と観察プログラムの最適化,空間分解能を向上するための電動Z軸制御システムの構築)を遂行する予定である.
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Research Products
(1 results)